途途
わたしは、歩く
わたしは、生まれ
そして、死ぬ
その道先を示す標はなく
ただ、鬱葱とした木々の間を
延々と歩いている
そこに迷い
そこに怒り
そこに絶望しようと
わたしは、なにも変わらぬ景色に
飲み込まれてしまうだろう
やがて、朽ちたこの身には
一つのどんぐりが芽吹き
人知れず大きく
大きくなって
いつか過ぎる
どこかの誰かを
見下ろしているだろう
わたしは、歩く
わたしは、生まれ
そして、死ぬ
やがては朽ちて
土となり果て
次なる命の源となる
静寂な道なき道に
争いもなければ
羨む心もない
何所とも知れず
訳も解らず
わたしのといきと
日々淡々と、語り合う
濃濃と横たわる朝霧よりも白く
襲い来る霧風よりも熱く
生きるとは、死ぬとは
わたしは、わたしと
語り合い
頂というものを見る日を夢見
人の生というものを
のらり、くらりと突き進む
人は人
私は、私
他人は、他人
隔てる壁は唯一つ
心を覆う、身体のみ
言葉をもってしても
仕草をもってしても
伝わるものは
寸部の想い
文字を綴っても
絵を描いても
伝わるものは
寸部の欠片
足りないものを補うために
相手を思い
足りないものを継ぎ足すために
その手を伸ばす
笑顔は、証となって刻まれ
行く末を照らす、灯の一つとなるだろう
一人、独り、ひとり
決して変わらぬその真理
深々とした森遠の孤旅
灯す光は、多い方が
心強いと、いうものでは
ないのだろうか?
by銀翼のキケロ