小さな嘘
下唇を噛み締めて
大粒の涙を落とした
大好きな
君との距離
それが、巨大な壁となって
立ちはだかる
後悔だけが言葉となって
囁き始め
悔しさが
いつまでもいつまでも
私の手に
ぎゅっと力を込めていた
いつもどおりの日々
何気ない会話
どうでもいい人たちに混じって
君は笑う
いつも頬を赤らめるのは私
冷やかされることもあるけど
一緒に居る時間が
楽しくて
傍に居てくれることが
嬉しくて
どうしても、我儘を言ってしまう
でも、静かに微笑んで
優しく頷いてくれた
きっかけは単純
積み上げてきたものすべてが
蹴り飛ばされてしまったかのようで
深く、深く絶望した
後悔した
反省したって間に合わない
自分でも解らなかった
どうしてあんな
どうでもいいことを
隠そうとしてしまったのか
最後の君の姿は
燃えるような夕焼けを背に
真っ黒に焦げてしまって
のっぺらな顔をこちらに向けている
見えない唇から
別れようって・・・
え・・・
どうして?
なんで?
聞いても、問いかけても
返ってくるのは
冷たく醒めきった目線
そんな、嫌だよ・・・
泣いても、呼んでも
視界に入ってくるのは
迷い無く離れていく背中
つまらなくなった
居づらくなった
君と一緒の空間
どうでもいい人の中に居るはずなのに
あの微笑みはどこ?
あの優しさはどこ?
世界が、真っ青になって
凍えた腕で
私を包み込む
それから、何度かあったんだ
どうして、わたし、ここにいるんだろうってさ
独り、川辺を歩いてた
カラカラ音を立てる自転車
ふと、見慣れた背中がずっと向こうに見える
ほんの数日しか経っていない
でも、酷く懐かしい気がした
恐る恐る、呼んでみたんだ
何も無い素振りをして
ただ・・・
駆け寄ってから
見上げた人は
君であって
君じゃなかった
一瞬で凍りついた私
振り返る瞳は
私を見ていない
赤の他人に呼び止められたかのような
乾いたもの
あぁ、もう、治せないんだ
ぐっと込み上げる悲しみ
堪えて、あのときのように切り出して
横について歩き出した
笑顔は、無い
流されるばかり
我慢できなくて
納得いかなくて
怒っては見たものの
失ったのは私だということに
代わりは無くて・・・
下唇を噛み締めて
大粒の涙を落とした
大好きな
君との距離
それが、巨大な壁となって
立ちはだかる
後悔だけが言葉となって
囁き始め
悔しさが
いつまでもいつまでも
私の手に
ぎゅっと力を込めていた
ずっと一緒だった筈のその空間が
どんなに叩いたところで
壊れることも無く
膝を地面につけるの事しかできなかった
きっかけはそう・・・
君に吐(つ)いた
小さな嘘
ずっと見ていて欲しくて
ずっと傍に居たくて
我儘が生んだ
嘘だった
其れを理解したのは
もっとずっと、先のこと
私が・・・
大人になってから
by幻想師キケロw