一本道
夕暮れを帰る時間だと
町に響く音楽が知らせる
うっすらと暗くなっていく空を見上げ
誰もいなくなった仕事場から
一人
帰路へ付く
走り去るエンジンの音を
風に揺らして
誰もいない山道
すれ違うはずも無い
街灯を求め
右へ左へ
珍しく
冬の月明かりが
過ぎ行く世界を満たし
私を
見守っているかのように思えた
道端に
いくつか転がる
枯れかけた花束に
静かに祈り
銀色の暗がりを掘り進む
霞などあるわけも無い
霧などかかるはずもない
ただ、それが
不思議と付いてくるのだ
ぴったりと寄り添うように・・・
私は、告げる
さぁ、帰ろう
この一本道に
彷徨うそれは
何を想い
何を願うのか
ただ、独り言を言えば
私は、後ろにそれらを乗せて
走っている
戻れなかった者たちのために
帰っているのだ
悲しみに沈む
青白い影を
鏡越しに見つめ
ひたすらに静寂を駆ける
坂を登り
峠を越えて
下っては、また登り
谷の先に
町明かりが見えた頃・・・
いつの間にか
あたりは暗闇
雲の中に隠れたのか
それとも
彼らの躊躇いか
誘う何かを横目に
見失うことなどありえないと言い聞かせ
私は帰る
私は返る
見そこに光がある限り
走ることを
諦める無いだろう
そう、この胸の内に刻み込んだ
オレンジ色の街灯に迎えられ
どこと無く安堵する
纏わり付いた感覚は
いつもこのころに
爽やかな笑みで消え去っていく
これは夢だと
笑いつつ
闇夜の光楽園に飛び込んで
私は、私の居場所へたどり着いた
by幻想師キケロw
皆さんも、帰り道は気をつけてください。
特に、悲しみが濃い場所を通り過ぎる時は。
この詩は、出張時とある山道を抜けていたときの実話を元に書きました。
翌朝、現地の人に聞くと、夜、出すぎて通行止めの道もあるとか・・・
まぁ、ショウガナイデスよね・・・