草の海
さらさら
さらさら
川音にも聞こえる
大きな雨粒の落ちる音
かといって
虫達の歌すらも掻き消してしまうような
騒がしさではなく
絶妙なまでに
調和している
私は、それを梯子の上から眺め
真っ赤な果実に
齧りついた
かさかさと
かさかさと
鈴の音にも聞こえる
大きな粒の稲穂の揺れる音
かといって
車の駆動音に勝るほどでもなく
絶妙なまでに
太陽の日を浴びて
黄金色に波立つ
私はそれを、高い橋の上から眺め
大きな溜め息をついた
くすくすと
くすくすと
人の囁きにも聞こえる
雨粒を無数に散りばめたススキの音
かといって
風がそうそう強く吹いているわけでもなく
絶妙なまでに
銀の影に染まり
黒く揺れ動く
私は、それを、丘の上から眺め
ゆっくりと微笑んだ
草の海
草の海
七色に染まるか
草の海
駆ける幼子を飲み込んで
甲高い喜びの声を吸い込んで
それでも静かに
揺れ動く
どこまでも
どこまでも
どこまでも続く
草の海
私は、それを、遠い未来から眺め
じっくりと茶を啜った
by幻想師キケロw