心象Ⅳ
傷つきたくない
叱られたくない
僕はいい子だよ
叩かないで
一人にしないで
裏切らないで・・・
真っ暗な世界
青白い光を放つ水の上で
泣いている子供は
僕なのだろうか・・・
落ちていく雫が
いくつもの波紋を描き
僕の影を揺らす
死にたくないよ
生きたくもないよ
静かなところで
ずっと眠りたいのに
どうして
揺らすの・・・
ふと、上を見れば
巨大な鍾乳石が
不気味な口を大きく開いて
こちらを見ている
あたかもそれは
少年を食らおうとする
鬼のようにも
悪魔のようにも
死神のようにも
見えてしまう
嫌だ
愛なんて知りたくもない
嫌だ
殺したいと想いたくない
お願い
囁かないで・・・
一人になりたいけど
なれないんだ
だから
そっとして・・・
ふと、水面を見れば
どこかの町、が映し出され
笑っている少年の姿
これは、彼の思い出なのだろうか
手を伸ばし
肌を締め付ける水を掬った
たちまち
映り込む全てが消え去り
彼が
顔を上げて
大声で
やめてよ、と叫んだ
だが、振り返っているであろう
少年の顔は
黒い靄に隠されて
不気味な姿にしか見えなかった・・・
by幻想師キケロw