風見鶏
僕の心は風見鶏
どこ行くわけでもなく
立ち尽くし
周囲の動向に
首をくるくると動かしている・・・
天高く吹き抜ける風よ
私が羽ばたくことはない
幾ら力強く、背中を押そうとも
私の薄っぺらな身体は
御前を切り裂いてしまうだろう
あぁ、どうか
そんな悲しい顔をしないでおくれ
翼なく
影のみの夢で
満足なのだ
そのかわりに
一つ私の願いを聞いてほしい
いつまでも
青空と温かな日差しを
金属とも木材ともいえぬ
曖昧な体に届けてほしい
楽しみといえば
それだけなのだから・・・
僕の心は風見鶏
どこ行くわけでもなく
立ち尽くし
社会の動向に
首をくるくると動かしている・・・
流されるがまま
私は見渡し眺めている
日常を見渡し
時間を眺め
移り行く景色を繰り返す
望むことならば
あの遍く星空のように
地上を見下ろしてみたいものだ
叶わぬと知りつつも
望んでしまうのは
何故だろうな
滑稽な顔に笑みなど作れるわけもないのに
こみ上げてくる
この笑い
冷め切った身体に灯るこれは
いったい何なのか
月にでも問いかければ
解るものなのだろうか・・・
僕の心は風見鶏
どこ行くわけでもなく
立ち尽くし
世界の動向に
首をくるくると動かしている・・・
時に雷は、天高らかに謳い
時に雨は、麗しく謳い続ける
風は、道化のように影で踊り
太陽は、微笑みながら残酷に切り裂いた
月は、すました顔でそれを包み
大地は、その全てを飲み込んだ
私は、焼け落ちた灰の中で
見下ろしてきた人という生き物に
踏み潰され
二度と回ることはなかった
未だ燻る炎の呟きを
密かに聞きながら
透通る青空を今日も眺める
私は風見鶏
だが今は、
今は・・・
鶏(とり)ともいえぬ
季節が巡るごとに
枯れ草に埋もれていき
いつからだろうか
真っ暗な空を見つめているのは・・・
僕の心は風見鶏
どこ行くわけでもなく
立ち尽くし
社会の動向に
首をくるくると動かしている・・・
しかし、僕は
歩くことができた
あの屋根の飾りとは違う
いつまでも回り続けることなど
無い・・・
風に迷うのは一瞬
進み続けるのは永遠
だが、同じ場所で埋もれることだけは
なぜか
僕の心が許さなかった・・・
僕自身の魂が、許さなかった・・・
by幻想師キケロw
かざみ‐どり【風見▽鶏】
| 1 鶏(にわとり)をかたどった風向計。西洋で、寺院の塔の上などに取りつけてある。 2 定見をもたず、周囲の状況を眺めて、都合のよい側にばかりつく人のこと。 |