子狼
やせ細り
歩くともままならぬ
それでもなお
獲物を見つめる瞳は
輝いている
舌をだらりと伸ばし
流れ出るよだれをなめ取ることもできぬ
それでもなお
瞳は生きることを諦めず
鋭く何かを切り裂いている
前足は空を蹴り
後ろ足は大地をかすめ砂埃を上げる
力のない声は風にかき消され
木々のざわめきに飲み込まれる
それでもなお
子狼の瞳は天を見つめ
その鼓動が止まらぬ限り
前へ前へと何もないところを目指す
誰がこの子を、風前の灯と馬鹿にした
誰がこの子を、死に損ないと罵った
我々の汚らしい眼で見つめては
彼には失礼だろう
こんなにも純粋に
こんなにも白く
まっすぐに生きようとしているだけの命を
そのようにいえるのは誰なのだろうか
他愛もない理由で死ねる我らと違い
彼は・・・
彼は・・・
生きたいのだ
どんな理由が其処にあったとしても
逝きたくはないのだ
その瞳が
いまだ世界を見つめている限り
by幻想師キケロw