藤の花
私どもの村で
あの花が咲く頃は
田植えの時期であります
下ばかりを眺め
先の見えぬ時間との戦いなのです
一歩、一歩と後ろに下がり
汗を一粒一粒、落としていくのが普通なのです
しかしながら、いつまでもこまってばかりでは
腰が酷く痛み始め
しまいには、歩くことさえ億劫に・・・
ですから、時々こうして腰をグイッと伸ばし
泥だらけの地面から
真っ青なお天道さんに
頑張ってますよって顔を向けるのです
そうしますと
すぐ傍の杉林の天辺に
なにやら、白やら桃色やら青やらと
鮮やかな房が垂れ下がり
仄かに甘い香りを
風に漂わせておるのです
作業柄辛いことも多いですが
あの花を見ていると
なんだか格好のつかない杉が化粧でもしたかのように
綺麗に見え出して
和むといいますか、幸せな気分と言いますか
なんといいますかねぇ
疲れというものが
どこぞに吹っ飛んでしまうのです
いやはや、不思議な力
で、しょうかねぇ
神様が、何となく励ましてくれてるみたいで
よし、やるぞと
気力が湧いてくるのです
皆さんも
こまってばかりで
先が見えなくなったなら
腰を伸ばして
藤の花を
じっくりと見てみたら良いでしょう
きっと、ささやかながら
ホッとこころがあったかくなりますよって・・・
by古郷のキケロw