トンボの夢 | 梟霊のブログ

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とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

トンボの夢
 
 
 
沈みゆく初冬の太陽に
うっすらと浮かぶトンボの影
枯れ果てた
ススキの穂先にかぶりつき
終わりゆく全てを力に変えて
空を見上げる
弱々しく
前足で顔を洗い
鈍く羽を動かすが
一風に揺られ
飛び立つこともままならず
そこにとどまる
 
霜が輝く朝日に
うっすらと開けていくトンボの躰
枯れ果てた
ススキの穂先に未だかぶりつき
一晩の夢を見ているのだろう
あの頃の自由な時を
あの頃の自由な光を
その澄んだ瞳の奥に写し
最後の力を振り絞って
飛ぼうとしているのだろう
パタパタと
パタパタと
ゆっくりと足の力を抜いて行く
パタパタと
パタパタと
ゆっくりと空を目指す
悪戯に吹いた風に煽られて
クルクルと周り
緑のロゼットに受け止められた
最早、起き上がることもできず
再び夕暮れが訪れたころには
その腕を胸において
眠っていた
安らかに
静かに
その運命に抗いながらも
空を飛ぼうと諦めず
生き抜いた彼
その寝顔は
余りにも輝いていた・・・
 
カサカサと揺れる
枯れたススキの穂先には
もう
トンボは居ない
風のみが戯れに渦を巻き
本格的な冬の訪れを歌う
彼は一体どこまで飛んでいったのだろう
寒さも
ひもじさもない
あたたかな日溜りの世界で
自由に
高々と
飛んでいったのだろう
僕は、そんな彼を羨ましく思った
小さな虫に見せつけられた
生き抜く強さと
儚き命の輝きを
羨ましく思えた
だからこそ
彼が見た夢は
きっと素晴らしいものだったに違いない
そう信じたかった
 
 
トンボの夢は
今の僕にも見ることができるのだろうか
人々の中で
丸くなり怯えている僕に
あの輝きは出せるのだろうか
余りにも力強く
余りにも鮮明に
焼き付いた彼の顔
頭の中から離れない・・・
ふと、
見上げた先に
白ずんだ吐息と
彼が今まさに飛んでいる空があった
でも、
今の僕には手を伸ばすことぐらいしか
できなかった・・・
 
 
 
by白銀のキケロw