水紋月
ゆらゆら
震える身に宿る
水紋月
哀しみ?
恐れ?
憎しみ?
時折、隠れては
声を押し殺して
泣いている
君はどうして
そんなに震えているの?
僕の声に怯えているの?
闇に紛れた
僕の深い声に・・・
そんなにキラキラと輝いているのに

どうして
そこまで怖がるの?
君がほら
空を歩くたびに
人々は美しいと言ってくれるじゃないか
君がほら
笑顔を見せるたびに
子供たちが安らかに眠っている・・・
僕はただ君に寄り添い
君をより引き出すための
踏み台に過ぎない
なのに
なぜ泣くの?
何を探しているの?
僕はいつでも君の背中にいるというのに
ほら・・・
こうして手をつないでいるじゃないか・・・
時を歩むことを止めた湖に
君が姿を表した
降り注ぐ銀色の雪は
ぽつりぽつりと波紋を描き
君を揺らす・・・
悲しそうな顔を眺め
風という細い腕でかき消した
物足りなさそうに
何かを求めて・・・
誰に手を差し伸べているの?
その真っ白な手を
誰を探しているの?
その真っ白な腕で
大粒の水晶をポロポロと落としながら
僕が、倒れそうな君を支えているというのに・・・
君は、雲の羽衣を纏い
美しい顔を下に向けている
でも
泣いちゃダメだよ・・・
君の横顔も
君の後ろ姿も
素敵だよ?
それでも、不安なのかい?
だったらほら・・・
もう一度この湖を覗いてご覧?
見えるかい?
僕がほら
君を抱きかかえているだろう
君の光の後ろに
漆黒のタクシードを着て立っているだろう?
月のお姫様
ほら、この手がしっかりと支えているでしょう
泣かないで
泣かないで
僕は、君の柔らかな笑顔が見たい
ほら、この黒いハンカチで
その涙を拭いて?
そして、観てご覧!
君を讃える星たちの躍動を
歓声を
さぁ、始めよう僕たちの舞台を
さぁ、踊ろう
観客が君を待っているよ
雲の羽衣を金色のドレスに変えて
ゆっくりとお辞儀をしよう
さぁ、世界中に君の笑顔を
ゆっくりとゆっくりと
回りながら
幸せそうな微笑みを
見せてあげよう
うつむくすべての人に
上を向く勇気と希望を与えよう・・・
僕は、闇
君を際立たせるための傀儡
常に寄り添い
君を抱きしめている
寂しがりの闇
君のダンスが力強さを増すたびに
君のダンスがより輝くたびに
ゆっくりとその手を離し
溶けていく
漆黒の大理石の中へ
消えていく
磨かれた闇の中へ
僕は
僕は
忘れ去られていく・・・
あぁ・・・もう、大丈夫
だよね・・・・
白み始める空にまだ君がいる
ゆっくりとお辞儀をして
舞台を後にする
流星の歓声が沸き起こり
君は純白の笑顔を見せていた
僕は、その姿を
大地の水辺で眺め
ほっと胸をなでおろしていた・・・