幻想の旅人14
僕は、どこへ向かっているのだろう
時々そう想い、考えてしまう
誰もいない、立った一本の道を
ふらふらと彷徨い
疲れない
見られない
この体を引き摺って
どこまでも、どこまでも歩き続ける
眼を閉じたその瞬間から・・・・
そこは草原
立った一本の気に下に
僕は座っていた
よっこらせと
体を起こし
あたりを見渡す
たった今まで、雨でも降っていたのだろう
草木にキラキラとした雫が残っている
灰色と白の雲が交互に
足早に去っていく
緩やかな風だけが、さわさわと音を立てて
過ぎていく
土の香りを乗せながら・・・
小高い丘の上へ
一気に駆け上がる
羽織っている
ぼろぼろのマントを
ばたばたと音を立たせて
眼下に広がったのは
雲の隙間から差し込む光を浴びて
黄金に輝いている
大きな湖と
それを取り囲むように
とんがり頭の木々の林
その影で静かに佇む
山々の姿
そして、小さな木造の教会
あぁ・・・なんてすばらしいところなんだろう
深呼吸・・・
澄み切った空気が
透明な体を満たしていった・・・・
こんどはゆっくりと下る
小さな教会を目指した
ゆっくりとドアを開ける
中には色鮮やかな光の妖精が
ふわふわと飛んでいた
ステンドグラスを通過して・・・
落ち着いた雰囲気
静かな木の香り
最後には十字架に貼り付けられたキリストの像
ここは村かなにかのものだろうか・・・
ひっそりとした空気の流れが
かすかに頬を撫でていく
誰もいない教会
ただ、光の妖精たちの社交場となっているようだった・・・
ふと、キリスト像の下に目が行った
どうやら、僕と同じ旅人のようだ
うっすらと透通った体で屈み
手を合わせている
美しいと思えた
妖精たちに囲まれて
深く隠された服の隙間から覗いた
その幸せそうな横顔を眺めながら
美しいと感じた
僕は、扉に一番近い最後尾の席の端で
じっと見つめるだけ
でも、その人は一番前で祈っている
何を祈っているのだろう・・・
少しばかり気にもなった
だた、もう時間が近づいているようだった
ドアに手をかけた
誰かが肩をたたいた
振り向くとさっきまで
祈りをささげていた旅人
フードを深くかぶり
男か女わからない
でも・・・
どうか、この旅が無事に終りますように
と、綺麗な声で語りかけてくれた・・・
ありがとう
僕は、そういって扉を開いた・・・
朝だ・・・
いつもの天上を眺め
雨の音を聴いた
憂鬱だった
けれども、なんとなく
頑張れる気がした
それはきっと
あの人が、祈ってくれたからに違いない
さぁ、今日も一日生き抜こう
そう、ココロに言い聞かせ
立ち上がった・・・