始まりの闇 | 梟霊のブログ

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とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

始まりの闇
 
 
僕は死んだ
開かれた瞳から
次第に闇のそこへと沈んでいく
ゆっくりと
水の中を沈んでいくように
光から遠退いていく
瞳の先で泣き崩れる家族
美しい思い出
諦めた現実から
全てから開放されて
僕は、世界から消えた
浄化の炎に包まれながら・・・
 
朝靄【アサモヤ】にも似た
霧が立ち込める
黒い川
対岸なんて見えない
ずっと奥知れず
続いていた・・・
いつの間にか見上げていた
星のような
別れの光
真っ白な光
スポットライトのように僕を照らす
 
キシリ、キシリと音がする
スポットライトに照らされた霧が
銀色に波立っている
黒い川が無言で流れていた
いったいどこへ
いったいどこへ・・・
ふらふらとたどり着いた
無人のような船に
僕は乗った
ぼうっとする意識の中で
不安など生まれはしなかった
そして
いつまでも
流されるまま
どこまでも
流されるまま
闇の中へ消えていく
 
意識が急にはっきりした
相変わらず船は進み続けている
正面には白装束の美しい女性がたたずみ
こちらに微笑みかけていた
貴女はだれ?
貴女はいつから?
貴女もどこからか?
何も答えず
ただただ、その美しい顔で
優しく微笑んでいた・・・
 
どれだけの時間漂い
どこまで来たのか解らない
僕の頭上から動かないかつての光
それだけが唯一の手がかり
ふと気がついた
自分の名前がわからない
あのこの名前がわからない
母の顔
父の顔
友の声すらも
判別ができなくなっていた
いったい何故・・・
不安に襲われる僕を見て
女性は下を指差した
僕は、示されるがまま覗き込む
そして
僕は、船から蹴り落とされた
 
黒い水の中は
無色だった
白装束の女性が
こちらに手を振っている
なんら変わらぬ笑顔で
ゆらゆらと小さく
これは何かの罰ゲームだろうか
僕は、何かしたのだろうか
またしても離れていく
闇の世界
でも、彼女が消えた次の瞬間
僕は光に包まれた
無機質の部屋に響く
かん高い泣き声
耳がおかしくなりそうだ
知らない人が
またしてもシラナイ女性に
僕を預ける
僕は、その女性の腕の中で
ゆたゆたとした
心地よさを覚えた
ここはどこだろう
僕は誰だろう
少し疲れた顔の知らないこの人は
誰だろう・・・
 
僕は、その温かさの中で
眠りについた
止まったはずの鼓動が
自分の中から聞こえる
失ったはずの鼓動が
耳元から聞こえる
なんだか懐かしい
ほのかないい香りも
鼻の奥を掠める
誰かの腕の揺りかごの中
もう、かつて誰だったかもわからない
だんだんと
この新しい世界に溶けていく
古い僕が溶けていく
恐れも不安もない
穏やかなココロのままで
僕は、もう、僕じゃない
あの暗闇を抜けたその瞬間から
僕は、生まれ変わったんだ
あの闇は、いったいなんだったんだろう
始まりの暗闇・・・
不思議なところだったような気がする
 
すべてが溶けて
新しい自分へと姿を変える
それはさなぎのよう
そして
これから歩む人生で
どのように羽化するのか
誰もわからない
でも・・・
その始まりと終わりには
必ず
始まりの闇が存在する
奇跡を生み出す
母なる闇が・・・