もののふ
一に、すらり
二に、すらり
三に、鞘に納まる
沈黙を切り裂く
鈍い光
誰に向けられ
誰を切ったのか
たたずむ者に
聴くほかは無い
私は此処にいる
この中心にいる
座する私は、私の陰を創り
目の前に置く
敵は己
己は敵
私は、心のどれを
刃とするのだろう
呼吸だけが辺りの闇に
吸い込まれる
今此処で
どれを武器にするのだろう
希望か
信念か
情熱か
憎しみか
嫉妬か
偽りか
はたまた
無心そのものか
私はこの手に
何を握り締め
振り上げ
振り落とすのか
己の陰を切れるほどの業物【もの】を
見出すことができるのか
思考だけが広がり
動かず
私は私と対峙し続ける
伸びる影、笑う陰
お前はどうして
此処にいる
何処まで悲しみを背負う
私とお前、同じだというのに
お前のほうが強い
なぜだ・・・
なぜだ・・・
朝が背にもたれる
その先にいるお前は
なぜ消えようとしない
笑う陰は答えない
ただ笑みを浮かべるだけ
朝露がぽつりと波紋を立てた
私は何かを同時に振りぬいた
重い何かを振りぬいた
一閃
今日の私が、昨日の私を殺した
生きる
生き延びる
生き延びて死ぬ
私にはそれしか浮かばなかった
私の刀はそのために使おう
それ以外は心の鞘に終うとしよう
今日が始まった朝
死んだ昨日の私に一礼し
此処を後にした