著名作家制作彫刻の行方
建物の老朽化で取り壊しが決まった丸栄百貨店や中日ビルの壁面には、それぞれ由緒ある壁画があって、保存決定のニュースがあり喜ばしいことである。
昭和54年(1979)9月に設置された一宮地域職業訓練センター(森本5-25-3)に、久野真先生(1921~1999)の「鋼鉄による作品」が設置されていたが、平成24年(2012)頃に職業訓練センターが閉鎖され、建物が取り壊された際に作品も撤去されてしまった。
久野先生は、名古屋市出身。東京高等師範学校卒業。特別攻撃隊飛行操縦教官を歴任。1951年~67年名古屋市立工芸高等学校教諭。第16回新制作協会展に出品、以後60年まで出品。第23回新制作協会展で新作家賞受賞。第11回プレミオ・リソーネ国際美術展(ミラノ)、現代美術の実験展、ピッツバーグ国際現代絵画彫刻展(カーネギー)、現代日本絵画展、新しい日本の絵画・彫刻展、日本現代美術展(オーストラリア)など国内外展で活躍された。
鋼鉄などの金属を素材として、直線や曲線を組み合わせた幾何学的なフォルムの組合せによるレリーフ状の抽象作品を独自のスタイルとした作品を発表されている。
このような著名な彫刻家の作品が、いとも簡単に廃棄されてしまったことは残念である。
過去のブログで書き込みをしたが、現在も一宮市の公共施設での彫刻の危機はまだある。
一宮競輪場中央緑地にある著名作家3人(三枝惣太郎先生・「魚」、庄司達先生・「風の輪」、石黒鏘二先生・「三つの語らい」)の彫刻と、木曽川庁舎入口正面にあった斉藤勝弘先生の彫刻「母子像」である。
旧丸栄百貨店や中日ビルのように、改めて保存を望む者である。