真清田神社桃花祭1
きょう花曇りの4月3日は、尾張一宮真清田神社の例大祭「桃花祭」の本番である。
観客が少ないのが残念である。
御旅所右手に、幕末から明治初年に漢詩壇で名を成した森春涛(1819~1889)の「三月三日行」の漢詩碑がある。
三月三日桃花祭の歌
三月三日、日本晴れ。村中、春風がすがすがしい。
今日は有名なお祭りで、神社の太鼓や村人の笛が鳴り、楽しく笑いながら集まって、祭りを見る。
元気な青年は腕まくりをして、なんとさわがしい声の満ち溢れることか。多くの飾り馬は稲光りのように早く駆け、花が点々と散らばる。
美しく化粧した子供は、たもとをはらって勢いよく立ち振る舞い、この上もなく優雅である。二輌の山車の人形が舞う姿は、風にひらひらひるがえる。
車はゆっくりと進み、音楽が進行しながら演奏される。ちょうど春の雲が遠い山を離れ去ってゆくありさまに似ている。
桃の花やスモモの花が散って、美しい模様をつくる。人のすがた、馬のすがた、ともに早足に駆けて行く。
花が社殿の石壇に乱れ散る。神旗の影が、擬宝珠欄干へ移動してきた。
流鏑馬のかぶら矢が一声高く鳴りひびき、人々はうやうやしく拝礼する。みこしが、色の美しい瑞雲の先端の中へかつぎ上げられて、祭殿に入る。(後藤利光先生訳)