日本全国全ての都道府県に行ってきて、いろいろなことに出会ったけれども、中でも震災については、なかなかの出会いがあった。

 東日本大震災の時については、エピソードが多すぎて後日数回に分けて書こうと思うけれども、2018年9月に起こった北海道の地震についても、いろいろ勉強となったことがあった。

 飛行機には各自で搭乗、現地で添乗員とガイドに合流するという大手旅行会社のツアー参加で、羽田に行ったのは、北海道で地震が起きた当日の朝。

 北海道は広いし(東北6県分の広さがある)、目的地は北海道北端の稚内の先にある、利尻・礼文という島なので、まさか中止にはならないだろうと考えていた。

 空港のカウンターへ行くと「このツアーは催行されます」とのこと。周囲を見回すと諸々のツアーが催行中止…。何故なら北海道本島全てが停電していたから。私が行ったツアーのように、島のみに行くツアー以外は全滅だったようだ。

 とにかく飛行機に乗り、稚内空港について、観光バスに乗り込み、空港を出発してすぐに、ガイドさんが言った言葉が忘れられない。

「お仕事をさせていただき、ありがとうございます。」

 その時は何とも思わなかったが、後日北海道の状況を知るにつれ、心にしみるようになった。何故なら、北海道胆振地方で起きた地震のため、そこから離れた地域でも停電が起き、観光客の受入れが出来なくてツアーが中止となり、仕事が無くなった。つまり収入も失ってしまった人が多数出たのだ。この地震で運行中止となった観光バスは4000台以上にのぼったそうだ(後日再度行った北海道旅行のガイドさんが言っていた)。

 今まで大地震が起きた地域への旅行は、そこに住んでいる人は旅行どころじゃないのに不謹慎だろうと思い避けていたが、旅行することによる支援という形もありうることを初めて知った旅行だった。