楽器 = 食材? | こだわりのつっこみ

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一応、今回で最終回の、おかしな喩えシリーズですが、今回はオーケストラの曲を聴くにあたって、私が特に重視というか興味を持っている部分です。

相変わらず、料理に喩えてみますが・・・

もはや食べたことがないという人はいないと思われるくらい、日本の食生活に浸透したピザ。

でも、結構チーズ嫌いのピザ好き、トマト嫌いのピザ好きの人って結構いますよね。
嫌いな食べ物って、その食べ物にクセがあったり、食感が苦手っていうパターンが多い気がします。
しかし、ピザのようなものだと、嫌いなものが入っていても思い切って食べてみると色々な味に混ざって、その嫌いなものの食感が薄れて、むしろ美味しく感じることができるんじゃないでしょうか?

例えば、チーズだけ食べてみる。
例えば、トマトだけを食べてみる。
例えば、ピーマンだけを食べてみる。
しかし、3つの食材を一気に食べると、
 チーズとトマトとピーマンを食べているのではなくて、
 また別の食材を食べている気になります。

楽器もそれと同じで、フルート、ヴァイオリン、トランペット、それぞれの音というのはもちろんありますが、互いの音をブレンドさせることで、また違う響きを生むのです。

さて、そうやって音のブレンドや楽器の特性を考えてオーケストラに編曲することをオーケストレーションと言います。

クラシック音楽の作曲家と呼ばれる人々の中にも、このオーケストレーションがものすごく得意だと言われている人がいて、例えば前回、「亡き王女のためのパヴァーヌ」を作曲したラヴェルや、チャイコフスキー、リムスキー=コルサコフなどという人が、特に面白いオーケストレーションをすることで有名です。

さて、ここでは個々の音と、音のブレンドを楽しんでもらうために、ラヴェルの有名な曲、「ボレロ」を聴いてみてください。
この曲の面白いところは、一定のリズム、2つの旋律を繰り返すことで、小さい音から大音量までオーケストラで余すことなく表現しているところです。

細かい楽器の説明はのちのちに回すとして、今回、このように分けてみました。

木管楽器
 高音:ピッコロ、フルート、オーボエ、クラリネット
 低音:サックス、ファゴット
金管楽器
 高音:トランペット、ホルン
 低音:トロンボーン、チューバ
弦楽器
打楽器(小太鼓、ティンパニなど)

以下は、演奏時間に合わせた登場する楽器です。

リズムというのは、最初の小太鼓で聴こえるとおり、
「タン タ タ タ タン~」の一定のリズム。このリズムすらも徐々に楽器が加わっているのです。
そして旋律というのは、なじみのあのメロディ。
こちらも次第に音が強くなったり、違う楽器でブレンドされたりしています。

この曲、10分以上かかるので、2つに分けてあります。

まず、前半

前半は、主に個々の楽器ががんばっています。

  0:20~ 小太鼓
0:30~ フルート
  1:11~ 弦楽器+フルート
1:16~ クラリネット
  1:58~ 弦楽器+フルート+ハープ
2:02~ ファゴット
  2:45~ 弦楽器+フルート+ハープ
2:50~ クラリネット(小)
  3:33~ 弦楽器+ファゴット
3:38~ オーボエ・ダモーレ
  4:21~ 弦楽器+ホルン
4:26~ フルート+トランペット(弱音器つき) 
※フルートとトランペットのブレンド
  5:08~ 弦楽器+フルート+トランペット(弱音器つき)
5:13~ テノールサックス
  5:56~ 弦楽器+オーボエ+イングリッシュ・ホルン+トランペット
6:02~ ソプラノサックス
  6:45~ 弦楽器+フルート+ファゴット+ホルン+ハープ
(以降ハープ略)
6:50~ ピッコロ+ホルン+チェレスタ ※意外な音が感じられます

ここからは後半 。次第に盛り上がっていきますよ~。

  0:25~ 弦楽器+ファゴット+ホルン+トランペット(弱音器つき)
0:30~ オーボエ+オーボエ・ダモーレ+イングリッシュホルン+クラリネット
  1:13~ 弦楽器+フルート+クラリネット+ファゴット+ホルン
1:18~ トロンボーン
  2:01~ 弦楽器+ファゴット+ホルン+トランペット
2:06~ 木管楽器たち
  2:49~ 弦楽器+オーボエ+クラリネット+ファゴット+ホルン+ティンパニ
2:54~ 木管楽器+ヴァイオリン
  3:37~ 弦楽器+木管楽器+ホルン+ティンパニ
3:42~ 木管楽器+ヴァイオリン
  4:25~ 弦楽器+木管楽器+ホルン+低音金管楽器+ティンパニ
4:30~ 木管楽器+弦楽器+トランペット
  5:12~ 弦楽器+低音木管楽器+金管楽器+ティンパニ
5:17~ 木管楽器+金管楽器+弦楽器
  6:00~ ほとんどの楽器+小太鼓2人に
6:06~ 高音木管楽器+トランペット+ヴァイオリン
  6:49~ ほとんどの楽器
6:54~ 高音木管楽器+トランペット+トロンボーン+ヴァイオリン
  7:58~ 全部の楽器


以上ですが、このように最初は静かなのに、様々な楽器がブレンドしながら大きな音になってきます。
ボレロは、旋律についつい耳がいきがちですが、実のところ、リズムもかなり凝られていることが分かります。
音のブレンドで言えば、むしろこちらの方がわかりやすいかもしれません。

このようにみていくと、オーケストラに使われる楽器の種類は、標準的な曲では30種類を越えませんが、音の組み合わせではそれこそ何百という変化を見せるのです。

さらに言うと、食材でも得意な分野というのがある程度決まっています。
一般論で言えば、きゅうりを例にとると、
ドロドロに煮込むよりも、みずみずしさと食感を出した方が美味しくいただけるように思います。

それと同じように、楽器にもそれぞれ出しやすい音、響きやすい音があります。
その楽器の特性をも考えながら、聴きやすく素敵な音楽を作ることが、作曲家のステータスの一つとなっているのです。

さて、今回のポイントは

楽器は食材である。



今回で一人で楽しんできた、おかしな喩えコーナーは終わりますが、
次回からは、真面目に(?)音楽の歴史を探ってみたいと思いますニコニコ