「時計じかけの俺んち」その2 | OverTheDogsオフィシャルブログ「犬、時々ブログ」 Powered by Ameba

「時計じかけの俺んち」その2

こんにちは。
明日が誕生日のOverTheDogsギター樋口三四郎です。

いま、タワーレコードの一部店舗で5月6日発売の新アルバム「君が使える魔法について」の先行試聴が出来るよ!
でも試聴出来るのは4月26日までだから急いでね。
そして聴いたその足で予約してね!


それではいつまで続くかわからない連載小説「時計じかけの俺んち」。
第二回です。
どうぞ!



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そんなある日、俺は1か月ぶりに街に出た。

新しい嫁、いや新しい時計を探すために。

東京西部に位置するフッサという街には米軍基地があり、自然とその基地周辺には服屋や中古楽器屋やレストランなど、アメリカンな店が集まっている。
俺はその街に向かった。

俺はアメリカ合衆国自体は好きじゃないが、アメリカのアンティーク品のデザインには一目置いていて、
特に基地沿いにある「SMALL PAPA」というアンティーク&ヴィンテージショップの品揃えはいつも俺を満足させてくれる。

勿論俺の狙いは毎回時計だ。

直接指で触れた時の手触りや匂いはインターネットでは決してわからないから、時計の購入は店舗で直接するのが定石だ。

電子メールのやり取りだけで結婚するやつなんていないだろ?


その日、いつも通りSMALL PAPAに入った瞬間、ものすごい引力でもあるかのように即座に飛び込んできたものがあった。

時計である。

だが、しかして奇妙な時計である。
普通とは違う雰囲気なのだ。

紫と碧のややアンバランスでドギツイ色の組み合わせ、左右から大量に伸びるツノのようなものは西洋のかつての拷問器具を思わせた。

その中心に申し訳程度に小さな時計の窓が一つ。

目には留まったものの、見ていて気分が良いデザインではない。
なのであるが、妙に魅かれてしまう。

店長にコレは何か訊ねたが、アメリカに買い付けにいった時に、店長もたまたま目に留まったから買ってみただけで詳しいことはわからないという。

俺は何故か、こいつを買わねばならないという使命感にも似た気持ちになり、ツノで指を刺さないように気を付けて持ちながら、レジへ向かった。

その帰り道、俺は不思議な恍惚感にかられていた。

…つづく?