【トゥルースリーパーの掛ふとん診断レポート】
勉強のため他社の寝具も調べたりします。
通販でよく売れているトゥルースリーパーのマットレス。その掛ふとんが、羽毛の約３倍暖かい（当社比らしい）を売りに、ホオンテック掛ふとんという名前で販売されています。「羽毛を超える暖かさ」と宣伝しているため、今回所属するグループで分解して調べてみました。ちなみにシングル定価27,280円。
まず表示を見ると、
中綿ポリエステル100%。
側生地ポリエステル100%
詰め物総重量1.4kg
開けてみると、CMではハイパー保温ボールと紹介されていますが、写真のようなボール状にはなっておらず、細いポリエステルが詰め込まれた感じです。繊維を引っ張ってみると、かなり長い繊維を合わせているようで、なかなか分けることができませんでした。繊維が分離してしまうのを防ぐためだと思われます。
（心の声:羽毛より約３倍暖かいを伝えやすくするため、羽毛の形状を意識してボールのように見える広告にしたんだろうな。繊維を長くするのもよく考えられている。ふむふむ。）
その繊維を顕微鏡で見てみると、天然繊維のように節やキズはなく、キレイな化学繊維特有の素材でした。表示がポリエステル100%だからそうなります。
次にCMを再現して、繊維を手に載せて20分ほどおき、手の表面を測ってみました。CMのようにサーモで見ると、確かに手の表面は赤く映ります。でもこれは手からの熱放射を妨げているだけであり、何かを手に置くと、手の表面の熱量が上がるのは当たり前です。
（心の声:うーん、普通を良く見せるのがうまい。賢い大学を出た人が考えたんだろうなぁ。）
あと手で包み込むとどうなるかも試しました。
下の写真にあるように、手の内側は赤くなります。でも包んでいる繊維は緑のまま。繊維が熱を保温しているわけではないのがわかりました。
（心の声:暖かい空気をたっぷり取り込むと記載があるが、どんな根拠なのだろうか？）
そして羽毛と比べて、熱の逃げ具合を調べました。なるべく風の影響を受けないよう四方囲った場所を作り、羽毛２種類とこの素材を同じ袋に入れ、下からヒーターを使って温め、その熱の逃げる数値を測りました。
結果は下の写真（色々見せれないのでモザイクですいません）ですが、４つの内、上２つは羽毛、３つ目は何もなし、４つ目がこの繊維です。数値が高くなると熱が逃げていることを表します。見事に羽毛の保温性が勝ちました。
実験というのは使う機器や環境で大きく変わりますが、約３倍温かいという根拠がどこから出たのか、そこは疑問に残る結果となりました。当社比だから更に怪しいのですが…
やる前から想像できた結果ではあります。
ポリエステル100%の生地にポリエステル100%の繊維を入れても、空気を遮断することしかできません。人間が入ると湿度が高くなるため、例え空気を遮断して温度が上がったとしても、人の感覚では湿度による不快感が出ます。寝具は人が使って初めて意味があるものなので、他にもマットレスだと何万回叩いたから強度があるなどの実験は意味がないと考えます。
確かに商売をする上で見せ方は大事です。どんなに良いものがあっても、お客さんが買いたいと行動を起こさない限り意味がありません。
でも、寝具は眠っている時に使うためのもの。見た目や売りやすさ重視では意味がありません。
ということで、結果私はオススメしません。
でもよく売れてるんだろうなぁ…😅
