地下鉄出口から外に出た途端、ランナーの姿が目に入った。

商店の壁に大きく描かれたゴールの瞬間。

ランナーの脇にはこんな一言が書かれていた。

(もちろんハングルで)

1936年ベルリンオリンピック金メダリスト 孫基禎。

韓国マラソン界のレジェンドだ。

この偉人の記念館がソウル中心部にある。

ソウルマラソン前日の3月18日に訪ねた。

最寄り駅は鉄道ソウル駅と、地下鉄2号線の忠正路駅。

私は忠正路駅から向かった。

壁絵に続き、道端には案内表示。

                   表題は「孫基禎の道」とでもいったところか。                  

マンション団地、運動公園を抜け約10分ほどで到着。

写真奥左手の茶色の建物が記念館。

手前右手の階段を上ったところに銅像があった。

静かに立つ銅像より、走る姿のレリーフに目が行く。

もちろん、レリーフと並んで記念撮影。

写真に写る男性は釜山から来た韓国人ランナー。

彼もソウルマラソン出場の機会に合わせて訪れた。

もちろん、二人で記念撮影した。

記念館正面玄関前には顔の像が。

こちらは晩年の姿だろう。

内部には様々な写真や愛用品、遺品などが展示されていた。

この写真は「勝利の日」というテーマの展示。

ベルリン五輪での活躍を伝えるものだ。

孫基禎はベルリン五輪前年の1935年には世界記録を達成。

世界記録、五輪制覇を共に果たした。

韓国人にとっては誇りであり、英雄でもあった。

ところが、当時の韓国は日本の統治下にあり、

ベルリン五輪は日本人としての出場した。

韓国と日本の政治状況に翻弄されて生きた人物でもある。

記念館の展示を見ても複雑な思いになる。

記念館の一角に紙の腕輪が置かれていた。

昨年開いた生誕110周年記念展の記念品だった。

翌日のソウルマラソンではこの腕輪をまいて走った。

孫基禎の強い心を見習いたかった。