11月23日(月)

大学ラグビー関東対抗戦で早稲田が慶応を下した。

得点は22対11だった。

これで開幕から6連勝、優勝へ一歩前進した。

この試合で一番印象的なシーンは前半35分ごろだった。

 

慶応が早稲田陣のライン際にハイパントを放った。

これをスタンドオフの吉村紘君(2年)が処理しようとすると、

慶応の選手二人が急接近し、強烈なプレッシャー。

吉村君が捕まる寸前だった。

すると、吉村は小さなパントを蹴って、慶応の選手をかわす。

そして、自らパントのボールに追いつき、

フォローの選手にスクラムハーフ張りのドライビングパス。

見事にボールを生かし、継続させた。

相手につかまってもラックで耐える、

ボールを持ってラインを出るなど様々な選択肢があったはず。

でも、この方法を瞬時に選んで成功させた。

その判断力とスキルはすごいと思った。

 

それ以外にも、この日は吉村君が目立った。

先制のトライを自らあげたほか、

ゴールキックは4本中3本を成功。

このうち、2本は難しい位置からのコンバージョンだった。

(写真はそのうちの1本)

指令塔としてはパス、キックと多彩な攻撃を演出。

ハイパントのキャッチやモールなど守りでも体を張っていた。

残念ながら、慶応に唯一許したトライは、

吉村君のキックをチャージされたのがきっかけ。

でも、その後は同様の場面をパスで対応する修正を見せた。

語弊があるかもしれないが、「吉村劇場」だった。

青学戦に続き二度目のマン・オブ・ザマッチもうなづける。

 

もちろん、この劇場は支える仲間がいるからこそ成り立つ。

相変わらず強くて速くて縦横無尽の下川甲嗣君(4年)、

強い突破力を見せつけた新人の村田陣悟君(1年)、

ライン攻撃で体をひたすら当て続けた平井亮佑君(4年)などなど。

チーム全員がひたむきに体を張って守り、攻めた。

 

吉村君発奮の一因かもしれない新人、伊藤大祐君(1年)。

後半30分過ぎに吉村君と交代出場し、いきなりスタンドオフ。

伸びるキック、突破力などパワーを見せた。

首脳陣はどのポジションで使うのか注目だ。

個人的にはセンターがいい気がするけれど……。

 

NHKの放送があったので監督と主将のインタビューがあった。

会場でもワイドビジョンで流れた。

丸尾崇真主将(4年)の言葉で印象に残ったのは、

対戦相手を「慶応義塾大学」ときちんと呼んでいたこと。

世間一般は「慶応」で済ますのに、繰り返しフルネーム。

礼儀正しいのだと感心した。

ノーサイドの後、両チームはバックスタンド前に並び一礼した。

丸尾主将はインタビューのために参加しなかったが、

解散後に改めて一人で駆け寄り一礼していた。

観戦を終えて神宮外苑を歩くと、銀杏並木が紅葉。

勝利の喜びを味わいながら眺めた。

12月6日の早明戦の後も同じ気持ちで歩きたい。