
10月27日(日)
梁石日が1994年に発表し、直木賞候補となった話題作。
第二次世界大戦では、大阪城にアジア最大の兵器工場といわれる大阪造兵廠があった。
しかし空襲で破壊され、戦後も長く廃墟となっていた。
そして、戦後10年が過ぎたころ、造兵廠跡から鉄を盗んで日々の糧を得る”アパッチ族”という一団がいた。
アパッチ族は大阪城周辺に住む貧しい在日コリアンらが中心だった。
この作品は、祖国を離れ日本の採底辺で暮らすコリアンたちの運命の不条理さ、悲しさの一方で、
彼らのエネルギー、生命力、明るさを描いた。
我がホームのお城についての勉強で読みはじめたが、
やがて、物語の面白さ、在日コリアンの深刻さに引き込まれて興味深く読み進んだ。
作品は2002年日韓合同製作で映画化され、主役的なコリアンを写真の山本太郎が演じた。
映画は韓国にオープンセットを作り、日韓の俳優陣が共演した。
泥や闇にまみれた泥臭い作品だ。
DVDをレンタルして観た。
日韓双方が、どちらかといえば闇に葬りたいような歴史を、
日韓の制作陣、キャストが熱い心で映画化した。
両国の民間交流がここまで進んでいた時代があったのことがうれしい。
そして、今のような冷却状態もいつか改善できる、と信じたい。