
1月17日(木)
垣根涼介著、文春文庫。
南米移民の暗闇を描いた衝撃作「ワイルド・ソウル」の作者垣根涼介はお気に入り作家の一人だ。
ワイルド・ソウルは歴史の暗部、権力の恐ろしさを告発するハードなテーマながら、
妙に優しく、明るい雰囲気も併せ持っていた。
不思議で絶妙な二重構造だ。
こうした持ち味は、NHKドラマにもなった「君たちに明日はない」にも発揮されている。
この本は、そんな筆者の第三の柱ともいえる「ヒートアイランド」シリーズの第4作。
ヒートアイランドは東京・渋谷の”少年ギャング”を率いる少年二人と、
世間の裏で動く裏金に絞って強奪する二人組を軸にする物語。
第一作は映画化され、城田優(少年の一人)や伊原剛志(強奪チームの一人)らが出演した。
疾走感のあるサスペンス感覚が魅力だ。
この「ボーダー」はギャングチームを解散してから3年、
あることをきっかけに元少年ギャングの二人が再会し、強奪チームの力も借りてある問題を解決する。
既に成人となった二人にとって、かつての一体感を一時的に取り戻せた同窓会だった。
第一作の「ヒートアイランド」を本とDVDで読み・鑑賞したうえでこの本を読むと、
小説中の人物と映画のキャスティングの絶妙さも味わえて楽しさが増すと思う。