
3月28日(水)
人生は何歳になっても楽しめる、ビギナーとして何かに取り組むのに遅すぎるということは無い。
こんな明るく素直なストーリーを予想していた。
一言でいえば、からっとした人生讃歌を期待していた。
ところが、何とも曇り空のようなどんよりした展開だった。
38歳の独身男が主人公。
母親の死後、75歳の父親が「自分はゲイだ」と告白。
さらに、ガンも発覚し、残りの人生はゲイとして思いのままに生きると宣言、実行した。
父親がゲイだと知った主人公は戸惑い、いわば途方に暮れる。
それまでの父親の人生はどうだったのか?
母は知っていたのだろうか?
父と母の夫婦生活は幸福だったのか?
様々な思いが交錯し立ち止まる主人公の前に一人の女性が現れる……。
そして、最後はまあまあハッピーエンドの結末だった。
病魔にむしばまれながら、残された人生をゲイとして正直に生きる父親。
見た目に美しいものではないけれど、それなりにすがすがしい。
そんな父親の姿を見守る主人公の姿は微笑ましいが、さみしげでもある。
父親の真の姿を知らなかった自分にさみしさを感じているのかもしれない。
ほのぼの感と寂しさをスクリーンから感じた。
本筋とは関係ないけれど、やはりメラニー・ロランはいい。
あの瞳で実際に見つめられたら、もうだめだろう。