
2月6日(月)
「31.9.9」「トメちゃん」という二つの言葉が書き込まれた一枚の紙。
茶色くくすんだ手のひらサイズのこの紙の反対側は、実はある幼児の写真が載っている。
半纏を着て頭には鉢巻という祭り姿で、前を見ている。
昭和31年9月9日の自分の姿だ。
今からおよそ55年前。一歳と少しのころだった。
昨日、愛知県の親戚に出かけたとき、従兄弟が「若い頃のお前だ」と渡してくれた。
今は亡き彼の親が残したアルバムの中に貼ってあり、そばに私の名前が書いてあったという。
言われてみれば、自分の面影がある。
私なのだろう。
アルバムからはがしてみると、写真のような文字が入っていた。
31.9.9は日付に違いない。
トメちゃんというのは、写真を見つけてくれた従兄弟の母親、つまり私の母の姉だ。
従兄弟と話しながら、経緯が分かった。
私の母が私の晴れ姿の写真を何枚か用意し、裏には上げる相手の名前を書いた。
そして、この写真はトメちゃんに送られ、アルバムに貼られた。
そして、55年が過ぎ、従兄弟によって私の手元に来た。
東京に住んでいた母が、故郷の愛知にいる仲の良い姉妹に自分の子供の晴れ姿を見せようとした証拠だ。
母は、初の子供の祭り姿をとても喜んでいたのだろう。
姉には一緒に喜んでもらいたかったし、見せびらかしたかったのだろう。
別に驚くような話ではない。
でも、今は亡き母親を思い出して干渉に浸るには十分な記念品だ。