原発の事故以降に「脱原発」「維持するべき」という意見があり、今後の日本のエネルギー情勢を左右する決断を国は迫られています。双方の主張にはメリットとリスクが混在していて議論か進展していないのが現状ですよね。
双方の主張を基にメリット・デメリットを考えてみました。

【脱原発の場合】
・メリット:放射性物質の危険を避けられる
今回の災害時同様に原発に何か起きれば放射性物質が外に撒き散らされる事になります。テロの標的になるリスクもあるし、施設内の警備に警察や自衛隊が法律の制約上使えないので丸裸同然なのが前々から指摘されていました。もし、日本を敵国とみなしている経済上豊かで無い国が攻撃を仕掛けるとして、大きなダメージを与える事を考えたら原発へのテロ作戦を立ててくる可能性は大きいですよね。

・デメリット:他のエネルギーにも大きなリスクがある
発電で主な役割を担っているのが火力発電ですが、火を起すエネルギーに使われるのが石油か天然ガス。国内ではまず採掘するのが難しく、輸入に依存しているのが現状です。今回の東電の値上げはエネルギー調達コストが響いているし、もしエネルギーの輸入元で有事があった際は大打撃を受けます。今の国際状況を考えると昔あったオイルショックのような事だって充分有り得ます。イラン情勢は対岸の火事ではないですし、輸入の大動脈であるシーレーンには不安定な地域が多くあるのでいつどうなるか分からないです。そうした場合にエネルギーを多く使う発電方法では備蓄石油はすぐ底をついてしまうので徹底的な節電と輪番停電が続く事になります。電車も半数以上が運休になったり経済活動の時間の制約が起きると考えられます。

【原発維持の場合】
・メリット:大容量発電が可能
設備を整えれば原発1基で火力発電の何倍ものエネルギーを作れ、安定的な電気供給が可能になります。
天然資源は二酸化炭素の排出量が多く地球温暖化の原因のひとつでもあるので、排出量削減に貢献できます。
国の政策で原発が置かれている地域には交付金が支給されたり、原発内の労働者を募り雇用の促進にも役立つので地域経済の活性化につながります。

・デメリット:放射性廃棄物の処理と利権構造
原発も放射性廃棄物という放射能を含んだゴミが出ます。そのゴミは地中の奥深くに埋めて何万年も時間をかけて放射能を抜き去る方法ですが、地中から漏れ出す危険性だってあります。他にも政府や電力会社などの利権構造があり原発を推進すればお金が落ちる仕組みが確立されているので今回の災害の反省が活かされないで原発再稼動という危険性もあります。


このように列挙してみるとどちらの意見も危険が伴うものだという事が分かりましたし、極端な政策を採ると日本の危機を招きかねないですよね。太陽光や風力、地熱などで大容量の発電が可能になれば問題はクリアできるとも思うのですが、技術が確立されるまでは相当な時間が掛かる上に実用したとしても当分は既存の発電方法とのハイブリッドになると思っています。


【脱原子力のドイツの場合】
以前にもこのブログで少し触れていたかと思いますが、ドイツの脱原発を進められる理由はいくつかあり、クリーンエネルギーの普及とフランスからの送電が可能な点が大きいです。フランスは原子力大国なので、ドイツの電力不足になった場合は輸出できるし、フランスが足りない場合はドイツから輸入できる陸続きのヨーロッパならではの相互供給がでいるので極端な電力不足には陥らないのです。


【原発推進国の場合】
原発を推進している国は国連常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国)がメインです。核保有国であるし第二次世界大戦の戦勝国でもある国々なので自ずと原発への依存が高いです。アメリカはスリーマイル島の原発事故以来新規計画を断念していましたけど、最近新規計画のが持ち上がって来ましたよね。フランスの場合は歴史的背景が大きく響いています。(歴史的背景は宜しければ下記を参照ください)

【フランスの歴史的背景】
フランスでは1950年代からにシャルルド・ゴール大統領によるアメリカに頼らない国防を意識し始め自国の防衛のため核開発を推進し、ソ連をはじめとする東側勢力からの防衛のために組織されたNATO(北大西洋条約機構)の本部をパリから追い出したりして自国の防衛は自国でするド・ゴール主義を確立しました。その産物が原発であって現在では原発先進国と言っても過言ではないくらいです。

【原発を導入した日本の歴史的背景】
日本が太平洋戦争開戦に踏み切った主な理由のひとつにアメリカが提唱した禁輸政策「ABCD包囲網」がありました。日本に石油を一切渡さない事で日本を弱体化させる狙いでしたが、耐え切れずに戦争に踏み切って敗戦しました。戦後日本はアメリカの核の傘に入りアメリカ製の原発を輸入する事となり、当時としてはアメリカのゴリ押しもあったし資源の少ない日本に合っているという考えがあったのではないでしょうか。そして今日のように原発が沖縄以外の地域に作られるようになったのです。

本腰入れて考える上で報道を鵜呑みにせず、他国の状況や歴史をしっかり見つめないと論点がブレて行って最後には役人の考えるシナリオで決着してしまいかねないです。そのためには少し歴史や背景を知っておく必要があると思うのです。政治家やみんなが学ぶべきところを学んでほしいです。