すこし早すぎたんだ。

出会うのが。

もっと大人になっていて、もっとたくさん恋をしてから、自分の人生が決まってから出会えばこんなにつらい思いしなかったんだ。

あなたしかいないと気づくのが早すぎた。

会えない日々が続くのに、あなたしかいないと気付いてしまった。

決して好きと言わない。
あなたが聞く歌は、遠くにいる彼を待つ人のうた。

遠くにいる彼を思う歌。
帰らぬ人を思う歌。

わたしが決して聞かない歌。

あなたしかいないと気付いてしまったときから、もうずっと諦めてる。

会えなくても、あなたの人生がどうなろうと、あなたしかいないと。


すごく忘れたかったから、思い出さなかったのか、思い出は美化されるというのか。

わたし、去年の夏思い出さなかった事実があるんだ。
舞い上がってて、すっかり忘れてたんだ。

わたし、ふられてるんだよね。

あたしのこと忘れてたって、ごめんねって。

なんで、このタイミングで思い出したんだかわからないけれど。

すっかり忘れてたんだ。

でも帰ってきたら、あの人はそんなことなかったみたいだった。

全部忘れてたの?
都合が悪いことは忘れたふりしたの?

会いたいけど、もう戻れないと思ったってなに?
なら、なんで戻ってきたの?

責めたいわけでも、帰ってきてほしくなかったわけでもない。

ただ、知りたいんだ。

わたしはただ都合のいい女と思われてるのか、本当に愛されてるのか。

自分の人生をいちばんに考えるのはいい。
わたしの側にいなくてもいい。

でも、なんでそばにいないと忘れてしまうの?

会える距離にいないと、声も聞けない。

お互い意地をはってるだけならいい。

顔をみないと何を考えてるかわからない。

寂しいなんて絶対言わない。

そんなとこだけ似てるから。


ただ、よくわからないんだ。

あなたは優しい。

きっとわたしが思うより、理解できる範囲より、やさしい。

思っていたより、ずっとやさしい。
だれにでも。

だから、わたしには理解できないんだ。


みんな騙されてばかみたいだ。

見た目がちゃらいことも、中身が一途なことも、全部勝手に判断して、ギャップとか言ってる。

口ではなんとでも言えるし、見た目なんていくらでも作れる。

酔ったふりも、何も知らないふりも慣れてるんだ、仕事だから。

だから、新しい仲間を騙すことなんて簡単。

むしろ、騙してる気なんてないんだ。

自分のキャラクターを作るのは、当たり前のことだから。


ちゃらいと思ってた子がちゃらくなくて、ぐっとくる気持ちはわからなくないけど、態度変えすぎ。

そんなにわかりやすい人に興味はない。

簡単なんだ。

彼がいなければ、奔放なキャバ嬢、彼がそばにいるなら、貞淑な令嬢


わたしはすべて、彼次第。

決して間違えないで、それはあの人にだけだから。


どんなに羨まれる相手でも、彼じゃなきゃ意味がない。

そういう意味では、誰よりも一途な女。

ただ、勘違いしないでね。

あなたにもそうとは限らない。