#51 | I FLY FREELY OVER THE SKY.

I FLY FREELY OVER THE SKY.

ジャンプトレーニングの記録と、ジャンプの話題全般。

2018年5月4日

MLBシアトル・マリナーズのイチロー選手が事実上引退してしまいました。

 

僕はジャンプのウォーミングアップに野球するくらいの野球好き、というかイチロー好きだったので、残念です。

 

公式には引退ではありませんが、来季以降出場したとしても、数試合程度にとどまると思います。

 

シーズン通して日々戦うということは、おそらくもうありません。

 

したがって、僕がずっと行ってきた日々のルーチン(毎日イチロー選手の安打数を追いかけて、バッティングフォームを確認する)は、もう終わるしかありません。

 

いつもスロースターターなので、5月というシーズンの早い段階で、力を出し切る前に終わりが来てしまったのは心残りですが、仕方ありません。

 

 

●自分のトレーニングの参考にしてた

イチロー選手のトレーニング内容や姿勢は、単純に野球ファンとしてだけではなく、ジャンプ向けトレーニングの参考にもしていました。

 

そのぶん思い入れがあり、寂しさがあります。

 

ストレッチするときは、たいていYouTubeでその日のイチロー全打席かスーパープレイ集を見ながらでしたし、後述のジムもイチロー選手の影響です。

 

いつから追いかけてきたか、ハッキリした記憶はありませんが、2010年の10年連続200本安打の際には号外を買っていたので、そのときには既に。

 

そして2008年時点では、ESPNで日々の安打数と打率を確認していたのも思い出しました。

 

振り返ってみると、イチロー選手は自分が好きなものをいくつも持っていたし、ジャンプともつながりがあったし、インタビューでも、実際に体験した本人しか感じられないことを確実に言葉にする。

 

それで、より深く追いかけるようになっていった気がします。

 

ジャンプと直結はしないものの、書かずにはいられず。書いちゃいます。

 

 

①別格だったバッティング

僕がイチローを直接見たのは一度だけなのですが、それが2000年、渡米前最後のシーズン、長野オリンピックスタジアムでの観戦でした。

 

父親が野球好きで、僕も小学校の6年間やっていたので、長野に珍しくプロが来たということで、一緒に観に行った記憶があります。

 

ここで、強く印象に残っているのは、試合よりも、その前の練習の様子です。

 

イチローのバッティング練習。

 

ほぼ全てのボールを真芯でとらえていました。

 

綺麗に全く同じ弾道で、右にホームラン5連発。そこから左にホームラン5連発。完璧な打ち分けと再現性。

 

代わった次の選手は、打ち損じたり、たまに出るホームラン性の当たりの後はゴロだったり、右だったり左だったり、全くバラついていました。

 

プロの一軍選手の中でも、イチローは明らかに別格で、さすがだな、と感じたことを覚えています。

 

試合も終盤になり、父親は何かの理由で帰りたがってましたが(もともと練習のほうを見たがっていたのと、試合はもう大差で勝負がついていたから?)

 

僕は「あと一人でも塁に出ればイチローに打順が回るから、見ていきたい」と言って残ってたのを覚えてます。

 

このときから、イチローはすごい、という印象が根底に出来上がったと思います。

 

(さっき調べたら、この日は2000年5月21日、オリックスvs西武。松坂を5回KO。イチローは5打数3安打)

 

 

②細身で俊足

MLBでは、ジャイアンにビッグライトを当てたような選手が多い(と僕には見えている)

 

悪く言えば、デカくて馬鹿力なだけで、ドタドタと走るのは遅い人たち。

 

僕が好きなスタイルはそれと正反対なところにあって、細身でスピード、キレ、バネがある選手。

 

イチロー選手がまさにそう。俊足の証である1番バッターで、MLB初年度は盗塁王。

 

僕自身が小柄で俊足タイプだったからか、ただデカいだけで動きが遅いものは、昔から自分の美学に反する。

 

ジャンプで岡部さんに惹かれたのも、軽量で、素晴らしく鋭いテイクオフがあったから。

 

トラックやダンプカーよりも、速くて小回りもきく、F1カーが好きだった。

 

ファミスタでは「ピノ」が抜群に一番好き。

 

そんな価値観からすると、イチロー選手はまさにど真ん中でした。

 

 

③自分と同じ右投げ左打ち、1番

イチロー選手といえば右投げ左打ち、外野手、1番バッターですが、偶然にも、僕も全く同じでした。

 

単純ですが、ここも共感出来た部分だったと思います。

 

左打者の方が一塁に近くて俊足を活かせるし、腕力が無いながらも、利き手の右手でバットを導けるので、振りやすかった。

 

もちろん、MLBと少年野球では、レベルも環境も何もかもが全く異なります。

 

しかし、こうして近い体験をしているように感じる、共感が出来る(出来た気になれる)というのは、心の距離を縮めるポイントなのでしょうか。

 

それにしても、1番バッターで首位打者近い打率なので、いつでも出塁して、俊足なので気付くと盗塁で2塁、3塁にいる。そしてヒット1本、犠牲フライ1本で帰ってこれる。

 

守備では、外野に飛べば即座にレーザービームで返球が来る。しかも完璧なコントロール。

 

見ていて本当にすごかった。

 

 

④トレーニング、船木さんも同じ。

イチロー選手の筋肉は、細いけど強い。非常にしなやかです。

 

本人いわく"soft muscle"ですが、これが俊足やケガに強い身体、そしてレーザービームを可能にしています。

 

そして、この筋肉のしなやかさをもたらしているのが、初動負荷トレーニングです。

 

マシンを使うトレーニングなのですが、ストレッチに近く、筋肉をほぐしたり、関節の可動域を拡げてくれます。

 

僕自身もジムでやってみましたが、感触は良いです。身体が軽くなる実感あり。

 

例えば、股関節は潤滑油をさしたようになって、下り坂だと自分の足の回転が円滑すぎて、一度走り出すと止まらず、自分で自分のスピードについていけなくて怖くなることがある。

 

筋肉が伸びて柔らかくなることで、同じ筋肉の太さでも、伸び縮みのするバネのような強さが出せる。細いまま強くなれる。

 

まさにジャンプに向いていると思った。

 

船木さんも昔通っていた実績があって、直接聞いてみても、プラスだったという印象をお持ちだった。

 

イチロー選手のトレーニングが、スキージャンプにもバッチリ合っていた。これも、追いかけるようになった一因と思う。

 

 

⑤日々のルーチン、継続性

The Art of Preparation(準備の芸術)と呼ばれるほど、イチロー選手の徹底した毎日のルーチンは野球界では有名だそうです。

 

ストレッチ、トレーニングを決して欠かさなくて、いつでもどんなときでも準備が出来ていると評されています。

 

球界の先輩と飲んでいても、時間になるとサッとトレーニングを始めてしまうとのこと。(記事)

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「夜9時過ぎでしたかね、いきなり、『稲葉さん、ちょっと失礼してトレーニングしてきます』ですからね(笑)。隣の部屋に数台のトレーニングマシンがあって、1時間半ぐらい黙々と。もう四六時中、野球のことを考えている」

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ここはまさに分野を問わずに見習うところ。

 

今の僕に必要なのは肩のリハビリやジョギングですが、それを会社生活の24hに上手く組み込んで、日々やらないと。

 

ついサボりたくもなるけど、そうしたらそこまでの選手だったと思う。

 

やっぱり気持ちの強さがあったから、ここまで来たと思う。

 

27歳、大人になってからスキージャンプ。東京在住。週5フルタイムで会社員。

 

合理的に言えば無理であろうことをやってきたと思う。

 

出来ない理由や言い訳は、つくろうとするなら無限につくれたと思うけど、頭に浮かびすらしなかった。

 

当初は、ラージヒルを飛べるまでになるなんて、そしてK点120mまで飛ぶなんて、自分以外は誰も思ってなかったと思う。ここまでは、合理性の壁を越えてきたかもしれない。

 

しかしながら、ここ2年くらいはだめだ。

 

ジョギング、ストレッチ、バランス。準備のルーチンが全く崩れている。

 

そこは忙しさだけじゃなくて、自分の甘さがあったと思う。イチローにはなかったものと思う。

 

本当に疲れ切っていたなら、休んで良いと思う。後から、ああしておけば良かった、が無いのなら良いと思う。

 

しっかりトレーニングをしてた2015年頃は、ジョギングが日々のルーチンで、毎日走らないことが怖かった。

 

その日走らなかった後悔を、翌日ずっとしていなければならないことが嫌だった。

 

もう一つ突き抜けるには、ここからもう一度、そんなゾーンに入るしかないと思う。

 

 

⑥魅せるパフォーマンス

最後に、これはおまけ的ではありますが、打席でバットを立てるあのポーズ。

 

イチロー選手といえばこれ、というくらい有名と思いますが、あれは良いなぁと思ってて。

 

エンタメ要素ってプロスポーツにはすごく大事だと思う。

 

本人が楽しいアマチュアスポーツと違って、観客が払うお金でサイクルを回しているプロスポーツは、究極的には見ている人が喜んでくれないと意味がないと思う。

 

イチロー選手のあのポーズが出るたびに、見ているファンが、待ってました、という感じになって、嬉しくなって、盛り上がる。

 

こんな動画も見つけた。

イチローが打席に立ったときの盛り上がりの様子。バットを立てた瞬間、フラッシュの嵐で歓声が上がる。

【YouTube1】

【YouTube2】

 

あのポーズは、もちろんバッティング上の合理的な理由があるはずだけど、その形がたまたま人を惹き付ける形も兼ねているという。本当にスター性があると思う。

 

僕もミーハーなところがあるので、ジャンプ前のウォーミングアップの野球のときは同じポーズをとってみたり、背番号51のTシャツ着てみたりしてる。

 

こうやって、ちょこっと楽しみ要素を入れながら何かをやるのは好き。

 

最後にイチロー選手の言葉で好きなものを引用しながら、まずはリハビリ、日々のルーチンをがんばろうと思います。

 

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特別なことをするために

特別なことをするのではない、

特別なことをするために

普段どおりの当たり前のことをする。

 

人に勝つという価値観では

野球をやっていない。

 

やってみて「ダメだ」とわかったことと、

はじめから「ダメだ」と言われたことは、

違います。

 

びっくりするような好プレイが、

勝ちに結びつくことは少ないです。

確実にこなさないといけないプレイを

確実にこなせるチームは強いと思います。


●ウォーミングアップはこれに限る