まあ 大人に なれば
就職浪人 なんて 言葉も
それほど 特別な もの
とかでも なくて わりと
ふつーに 耳に したりは
するんだ けれど 工業生と
いえど 学年 では
けっこう 成績 優秀って
ことで とおって いた
らしい うちの Bさん、
いち応の 就業 先だった
へっぽこ さんちの
姉 夫婦の とこが
ただで さえ 公共
事業の 止まる 期がわり
時期に くわえて ほかの
仕事も 初手から 入札
トラブル とかで、ここに
きての 就労 待ちの
時間 なんかが なぜか
だんだん 骨身に しみて
しまった らしく。
はなしに 聞くと 最終
的には ひと月半 ほどの
待機って 方向 でって
ことには なって いた
らしいん だけど、そもそも
建築 会社って いっても
個人 経営って 形態
なんで 税金 とか
厚生面 なんかで 極力
国に 会社の カネ
渡したく ないって
体制の ために ふつーの
従業員 制度 ではなく
名目 上 株主で ある
家族 以外は 全員
ひとり親方 制度って
ことで ずっと やって
きて るんで、まあ、
4月 期がわり 時期とか
みんな して 仕事
まわらなく なって
くるのが 建築 系の
世の常 なんで、ましてや
ひとり親方 とも なれば、
その 間の 金策の
苦労 たるや。
っても、トータルに して
結局 ひと月 半ほど
だって 決定 では
あったに しても、
なにしろ その あいだに
都度つど 延期の 連絡が
入り、挙句 最終 的に
出た 期間が それって
はなし だった らしいん
だけど、
う~ん、まあ、
聞いて みた ところ、
Bさん どうやら ひとつ
年下の 彼女 ちゃんが
来年 卒業 したら
今回 B さんが 就労
希望 している その
都心部に ある、なんかの
専門 学校を 受けたい
らしく、Bさん 的にも
都心部 への あこがれ
なんかは もちろん
だけど、どうやら そちらに
あわせる 意味 とかも
あっての、遠地 での
ひとり暮らし 宣言 と
なってた そうで。
まあ いまや そんなに
クチも きこうと しなく
なってる クソバカ だし、
自分の やりたい こと
ぐらい 自分で 決めて
進ませて やりたいって
気も あって、へっぽこ
さんも この ときまで、
Bさんの 意向が まだ
そんな ぼんやりと した
もの だって こと 自体
耳に したこと なんかも
なかったんだ けれど、
まま、そういった 裏事情
あたりが、先の 就職
希望の、核の 部分で
あったんだ そうで。
でね?
その ひとつしか 志望
して いなかった 原発屋の
下請け みたいな ところが
わりと デキるコ しか
面接も しないって 会社
だったんだ そうで、
Bさんに だけ 学校
からの 志望 OKが
出たって ことで わざわざ
そこ いっぽんに しぼって
いたって 理由 なんかも
あったりも して、いち番の
難関と なる 応募 先を
いち番に クリア した
からって いう、いわゆる
高校 生活 3 年間の
鬱屈 した 仲間 内への
プライド なんかも
あったん だろう とは
思うん だけど、それが
みるみる 就職 浪人に
まで、自分の 立場
みたいな ものが 下がって
しまい。
かてて くわえて、
彼女 ちゃんがね?
どうやら ずっと、そんなの
べつに 気に するなって、
いつもと かわらず
ほがらかに 対応 して
くれてた らしいの。
で、
いつ 姉夫婦 方 からの
出発 OKの 連絡
くるかも しれない
からって ずっと 待機
状態 だったん だけど、
再三 再四の 就労 予定の
延期と なり、しかも
延期連絡 こそ 入りは
すれど いち度も 予定が
早まる ことが なかったり
なんかも したもん だから、
この春 無事に 就職
している 連中 とか
志望の ままに 進学
できた 連中 あたりから
なにかと 連絡 くる たびに、
Bさん なりに、どっか
座りの わるい 思いを
しては いた らしいん
だけど、なにより、
彼女 ちゃんの 笑顔が
いつしか すんごい
重荷に なって
きていた そうで。
まあ、
夜、寝入り ばなとか
Bさん 携帯の 通話を
スピーカーに している
ときとか けっこう あって
相手 さんの 声量に
よっては 隣室 側まで
はなし 声とか 聞こえて
きたりも してるん だけど、
『おかえり~~~~~!』
って 彼女 ちゃんの
元気な 声が、ときおり
たしかに、就寝 しようと
B さんが 部屋に
もどった とたんに、
そっちの 壁ごしに
聞こえて きてたり
してたの ね。
「どこ行くか知らんが、
とにかくひとり暮らしが
したいんやったらまず
カネがいる。どこでも
ええからいったんバイト先
飛び込んで、そやって
ごろごろしとる時間を
まず、カネにかえてこい」
とりあえず、4月 越えて
すぐ B さんには そう
言って おいたん だけど、
地元じゃ なにかと バツの
わるさ なんかも ある
みたいで なかなか 腰が
動かな かったり したんだ
けれど、なんと 拙宅の
となりの 町に 居を
かまえる 彼女 ちゃんの
父君が、どうやら 建築資材
的な、なんかの 金属加工
とかの 会社を 経営
して いるとか で
「もう まったく 知らん
仲でも ないし、バイトで
よかったら 出発 決まる
までの あいだ、うちの
職場 おいで?」
と、言って くれたんだ
そう。
じつは Bさん、もう
あちゃらの お宅にも
わりと 頻繁に 平気で
足 はこんで いるって
あいだ柄。
捨てる神 ならぬ、なかなか
ひろって くれない 神
あれば、すぐに ひろって
くれる 神 ありで。
「そのままムコ入りしてしまえ」
田舎と いえど 日当
いちまんえん 弱だと
しても なにかの 資金を
ためる なら、そこらで
ごろごろ している よりは
入って くるだけ よほど
マシ。ましてや 彼女ちゃん
なんかが 最終 的に
進路を 決める この夏
までに、ふたりで じっくり
行く末 考え てくには
この上 ない 条件
でも あるわけ で。
「そのままムコ入りしてしまえ」
意味 かみ砕いて ちゃんと
そう Bさんに 入れ知恵
しては みたんだ けれど、
まだ そこまでは もごもご
もご…… みたいな 反応。
「あほか。社会人いうのは
そういう世界じゃ。1回
制服脱いだからにはもう
否応なく、みんな単なる
ひとりの大人じゃ、覚えとけ」
と 手短に 説教。
っても まあ、
すぐに 理解が できるとは
こちらも 思って ない
けれど。
で、バイト 行きかけて
数日。
先方 さまより うちの
ヨメさんに 連絡が あり、
こちらの 親戚 筋での
就職 話が もし 仮に
アレに なったり した
場合、正式に、Bさん
社員と して うちで
採用 させて ほしいん
ですが~…… とのこと。
まあ、ね、
仕事ぶり 自体は
認めて くれたって
こと らしく。
『やったあ、ニッカポッカやん』
とは、B さんから それを
聞いた、彼女ちゃんの 弁
なんだ そう。
「高校入るまえからおまえに
言うとったこと、覚えとるか?
なにしろまず高校3年間で
“将来”
をひとつ さがして決めろって
ずっと言うとったやろ。
覚えてるか? おまえが
さがしたのは “職業” で
あって “将来” ではない、
みんなとの差もたぶん
そこや。夢やら希望やら
いうもんはいくつ持っても
ええ、もちろん、いくつ
かなえてってもええ、けど、
社会に出る目標はあくまで
“将来” や。自分がどんな
毎日送りたいか、もちろん、
そこに彼女ちゃんが必要
なんやったら、もうそれも
おまえの “将来” のひとつ
なんや。もちろんそれは
逆に彼女ちゃんの “将来”
を奪うことと、おんなじ
意味や。やから、所帯を持つ
おとこには責任いうもんが
ついてまわる。まずは一緒に
おりたいいうんやったら、
この夏までにとっぷり時間
かけて、彼女ちゃんと
はなししとけ。それが
“将来” への覚悟ってもんや」
おまえの人生奪うことになるかもしれへんのやけど、ちょっとおれと一緒におってくれへんか?
「勇気ふりしぼって、
そこからスタートしてみい」
ってなことをまあ、言っても
みたりで。
色恋って 結局、
ふたりの 時間と 自由とを
ひとつに なるよう お互い
削りあって まぜあわせる
ことで、あたらしい 日々を
一緒に 作って いくって
ことで しか ないわけ
なんでね。
たいていの 場合、問題は
その 分配 加減で。
彼女ちゃん 方には
ちゃんと 弟 くんが
いるそう なので もちろん
ムコ入り うんぬんは
へっぽこ さんの 単なる
軽くちで しか ないんだ
けれど、もちろん それも
本人 同士が 希望
するなら、べつに それでも
いいんだ し。
まあ、
ヨメさん から 聞いた
だけの はなし だから
もちろん 断定 とか
までは できない けれど、
向こう さまの 申し出の
内容 だけを 聞いてる と、
やはり 個人 経営者の
常って いうか、どうも、
弟 くんへと 代がわり
する その ときの、
いわゆる 跡継ぎ さんへの
引き継ぎ 用に、小才の
きいた 番頭 格に
現場 だけでも 引っぱって
いって ほしいって 感じの
流れの ような 気が
するんだ けれど、
まあ そこは それ。
「あしたは 商談に 出かける
しゃちょー ちゃんの
運転手で ぼく ちょっと
遠出 するで 弁当
いらんって」
ってな ことを ヨメさんと
はなしても いたんで、まあ
そっち ふうに 見込まれ
たん だろうか なって。
まだ バイトと して
職場に いきかけ だした
数日 ほどの ころ、
「……ぼく、なにしよんやろ」
って 泣いて ヨメさんに
こぼした 日が あったそう。
なんで、こりゃあ クリアに
できる ことは とっとと
解決 しておく ほうが
本人の 重しに ならない
だろうと それらも ふくめて
いち応 ヨメさん 側から
いち度 連絡 とって
もらい、B さんに
直接 姉 夫婦の とこに
今後の 対応 相談
させたら、その 彼女と
もし 疎遠に なったり
したら、また こっちに
声 かけて ねって ことで
いち応 そちらは 円満に
はなしが ついた らしいん
だけど、その後 姉夫婦 から
ヨメさん とこに いち度も
連絡 ないって いうんで、
じつは 決裂 しているの
かも しんない。
ま、
どっち でも いいんだ
けどね。
「おれはジジババのせいで
ろくすっぽ自分の人生
決められなんだけど、
おまえは曲がりなりにも
自分で人生選んどる。それが
どんだけ恵まれたことか
いまはわからんかも
しれんけど、心配せんでも
欲さえかかなんだら、
仕事なんぞ、その気あったら
わりといつでも、どうとでも
なるもんや。まずはおまえが
自分の人生に覚悟きめること。
いまは彼女、大事なんやろ?
全部ほかすつもりで、
しっかり守ったれ」
どこまで 理解 できて
いるのか までは よく
わから ない けれど、
まあ、そういう ことに
なり ました。
ある日 とつぜん ちんばと
なった 時給戦士
きゅーひゃくえん、
子らの ための 蓄財
なんぞ とても できない
身の上 だけど、せめて
センベツ ぐらいはと
夏場 あたりから ひと月
さんぜん えんの 小遣い
ちみちみ ためては
きたんだ けれど、これなら
もう、少額 ながらも
ある 程度は まとめる
ことの できた 金額、
自分で つかって しまって
いい かしら。
ブログの ネタは まだ
たんまり ストック 分が
フォルダに あるし べつに
ムリから おカネを つかう
必要 なんかも いまの
ところ まったく ないっちゃ
ないんだ けれど、半年
ほどか? ヤフオク なんかで
よさげな 格安 ギター
歯噛み しながら いくつも
見おくり して きちゃった
もん だから、我 ながら
すこし、その 反動が
こわいなあ。
ゆうべは 会社の 歓送会
とかで たらふく 飲まされて
きた らしく、深夜に
酔いよいで 帰って きたそう。
ただで さえ へばって
身体 へろへろ なのに
そんな ザマでは 彼女ちゃん
ちゃんと かまって
やれんだ ろうが。
まあ、
こん度 デート 代でも
ナイショで すこし
わたして やるかね。
うん、
いい季節じゃないか。