●2016年8月中旬

 

いよいよ入院の日となった。

この頃は比較的精神状態も安定していて、落ち着いて入院の手続きを済ませることができた。

病室は6人部屋だったが、カーテンは全て閉め切られ、物々しい空気が満ちていて少し息がつまりそうだった。

 

身長、体重、体温、血圧、酸素量の測定やら、病棟の案内やら、オペの説明等でしばらくはバタバタとしていた。

最初に入院のスケジュールを渡されたのだが、そのプリントの右上に「卵巣癌/根治術」と書かれていて微妙な気分に……。

確かに「悪性の可能性は否定できない」という話でしたがね……一応は「手術してからでないと良悪の診断ができない」ということになってるのだから、そこは徹底して「卵巣腫瘍」程度の表現に抑えておいてほしいと思う。

些細なことだけど、患者はナーバスになるんだよ……(´・ω・`)

 

手術は大体4時間の予定であることを聞いた。

良性腫瘍だと2時間程だとどこかで見かけたので、「やっぱり悪いものの可能性が高いから長めに予定されてるんだなぁ」とここでも微妙な気分に。

両親にいたっては30分くらいの手術だと思ってたらしく、思いのほか大がかりであることを知りビビっているようだった。いや30分て……それはさすがにないでしょうよ……w

 

一通りの説明が終わり、まったりし始めた夕方頃。

剃毛のために看護士さん(とても可愛い)に処置室に呼ばれた。

いろんな方のブログで術前に剃毛があることは学んでいたので、覚悟はできていたけれどやはり恥ずかしかった。

しかしパンツを少し下げたところ、

 

「あ……これなら大丈夫です」

 

と、看護士さんに言われ、結局剃毛は無しに。

 

「え……? いいんですか?」

 

普通に生えてますけど……?

 

「はい、大丈夫です」

 

「本当に?」

 

「はい」

 

「そういうものなんですか……?」

 

術前に剃毛をしなかった人のブログを見かけたことがなかったので、不安のあまりつい食い下がってしまったのだが、看護士さんが顔を赤らめながら「大丈夫です」と苦笑するので、だんだんセクハラをしているような気分になった。

別に剃ってほしかったわけじゃないんですよ……。手術に支障はないのか心配になっただけなんですよ……(・Θ・;)

 

そして入院初日の予定は全て終わり、夕食後に下剤(センノシド錠)を飲んで、テレビを見て、消灯へ。

それらの合間に、向かいのベッドから、手術を終えたばかりであろう人の嘔吐音が頻繁に聞こえてきて、どんどん気持ちが落ち込んでいった。

入院中、最も精神的にキツかったのがこれだったように思う。

私の病室は手術前後の方々が集められていたので、麻酔の副作用で嘔吐をしている様子がほとんどのベッドから伝わってきた。

看護士さん早く吐き気止め持ってきてあげて……! と、何度もナースコールを連打したい気分に駆られた。

 

いろいろな不安もあり、その夜は一睡もできなかった。

手術時に麻酔で寝ればいいやと開き直って、ベッドの中でずっとスマホをいじっていた。