---いよいよ合宿が始まった。


宿までの移動はバスで、
席は自由席だった。
私の隣はユカリだった。


「ねぇあや、私合宿中に原先輩に告白しようと思うんだ。だから色々手伝って!」


ユカリは私の耳元でそう言った。


「へぇーそうなんだ!わかった!!応援するよ!

ただ、私原先輩と話したりすると、拓也がすぐ変なニュアンスで光輝に言っちゃうんだもん……」


「それムカつくね!私拓也に話しておくよ!『あやは私の応援をしてくれてるだけで、変なこと彼氏に言わないで』って。」


「ありがとう…(笑)」


「あのさ、でね、原先輩に今日中に『どんな子タイプですか?』って聞いてみてくれない?」


「え、合宿中に告るのに、今更タイプ聞くの?」


「いいじゃん別にー。それによって告白の言葉変えようかなって(笑)」


「そっかそっか。じゃあ聞いておいてあげるよ!」


私も個人的に拓哉には釘を刺した。

「合宿中はユカリと原先輩を上手くいかせるように原先輩に近づくだけだから、

光輝に変な風に言わないでよ。」

って。




---その日の夕食時、
私は原先輩の隣の席を確保し、私の隣にはユカリが座った。


「先輩!先輩少し焼けましたね~。先輩っていったら色白なイメージだったのに~」


「あぁーまぁ……焼けた……ね」


相変わらず先輩は目を特に見てもくれず、
クールな対応だった。

それでも私は先輩に話しかけ続け、
何人兄弟なのか…
いつからテニスを始めたのか…
彼女は今まで何人いたなか…

そこまでは聞き出した。


「ちなみに先輩ってどんな子がタイプなんですか?」

私は思い切った。


「タイプ………うーん…」


「うーん……?」


「えー……」


「えー……?」


「ん……明るい子とか。」


「先輩の口から『明るい子』とか意外ですね!」


「…そうか…なぁー……んー…」



夕食が終わったあと、
私はもう一度ユカリに原先輩と話したことを伝えた。


「『明るい子』って言ってたんだぁ~?意外ー!」


「だよね~!私もそう言っちゃったよ~」


「じゃ、私明日の夜、明るいノリで告ろうかな!!(笑)」


「上手く行くといいね!!」


「ありがと!」


私は、心の底からユカリが上手く行くことを願った。