今朝の日経新聞に「地震保険 補償を拡大」という見出しで
地震保険制度の見直しに関する記事がでてました。
主な見直し案は以下のとおりです。
1.耐震住宅の補償限度額の引き上げ
2.半損と一部損の間に新区分
3.耐震性の高い住宅の保険料割引
4.保険料の見直し(引き上げ)
まだ検討中の段階なので、確定ではありません。
まず、1と2の見直しについて考えてみました。
現行の制度では、
1.引受リスク総量を抑えるために、火災保険金額の
50%まで(住宅価額の半分まで)に制限し、
2.迅速な支払いのために損害査定を簡素化するために
支払い区分を「全損、半損、一部損」の3つに制限して
いました。
今回の見直しは、これら従来の制限をとっぱらっても、
問題はなくなったということで、見直しが行われるの
でしょうか?
1で言えば、耐震住宅なら補償額を引き上げても、
引受リスクの総量に与える影響はそれほど大きくない
ということがわかったからでしょうか?
今まで火災保険の保険金額の50%までに制限していたのは、
引受リスクの総額を抑えるためでしたが、これが、耐震住宅
であれば、引受リスクを増やしても大丈夫ということに
なったのかも知れません。
建物の耐震性が高まっているので、こういう状況変化を反映
した見直しには、一理あるかも知れません。
また、これにより、2重ローンの問題を解消できる保険ツール
が強化されるので、よい見直しだと思います。
もともと、一部損の区分を廃止し、そのかわり、全損を家の
価額の100%まで補償する地震保険制度の方がよい、という
のが持論だったので、この見直しには大賛成です。
2の新区分の設定については、どうも納得できません。
早く保険金を支払ってもすぐには家を建てかえることが
できないから、査定を迅速にする必要がなくなった??
という状況変化があって、区分を一つ増やそうという
見直し案がでてきたのでしょうか?
多分、違うでしょう。
区分を一つくらい増やしても、迅速に査定できるということが
今回の震災でわかったから?
これも違うような気がします。
新聞によれば、「被害額に比べて保険金が少ない」という
不満の声が多いそうです。おそらく、これらの声を反映して
いるのでしょう。でも、こういう声は、今に始まった話では
なく、前からあった話でした。
なぜ急にそうした声を反映する案がでてきたのか?
「以前とくらべて状況の変化があったから、従来はできな
かったけど、今後はできるようになりました」という説明なら
わかるのですが、以前と比べて何も状況の変化がなければ、
「以前は無視していました。ごめんなさい。今後は声を聞く
ようにいたします」という説明にしか聞こえません。
また、そうした声が大きいのであれば、全損と半損の間には
なぜ区分をつくらないのか?
これは、声の大きさ=人数ということが関係しています。
一部損と半損の間で判定される人数の方が、全損と半損の間に
判定される人数よりも圧倒的に多いから、こうなるのでしょう。
でも、本当にそれでいいのでしょうか?
国が深くかかわる地震保険は、だれを救済する制度なのか?
新区分の創設という見直しについては、ここがぼけている
気がします。十分な議論が足りないと。
震災で生活再建が困難になるのは、多額の住宅ローンを
抱えたまま住宅を失ってしまったローン債務者と低所得者
です。
限度額の引き上げは、ローン債務者のローン債務を軽減する
ことにつながるのでいい見直しだと思います。
保険料の引き上げは、低所得者の加入を阻害することになり
ますが、危険度を反映した保険料の引き上げは止むを得ない
と思います。
保険料の割引幅の拡大は、耐震性の高い住宅に住む高所得者
と比較的新しい家を購入し多額のローンを抱えているローン
債務者にメリットを与えるのでいい見直しかと思います。
半損にも満たない比較的軽微な損害について、新区分を創設
することだけは、リスク量の増大、保険料の引き上げにつな
がるので、ローン債務者と低所得者を救済する制度としては
ふさわしくないといわざるを得ません。
保険料を負担できない低所得者の切り捨てに近い見直し案
だと思います。
半壊に満たないような比較的軽微な損害の方が発生件数が
多いので、保険金の支払い機会(件数)が増え、商品に対する
支持は増えるのかも知れません。募集もしやすくなるかも
知れません。
でも、その分の保険料を安くし、低所得者でも加入しやすい
制度にする、あるいは、その分のリスク量を補償額の引き上げ
にあてローン債務者のローン債務を解消できるような制度に
する、そうした見直しの方が、誰を救済するのか?という
きちんとした理念をもった地震保険制度になると思います。
現在、行われている見直しには理念がまったく感じられない
のが残念です。
東日本大震災での保険金の支払いにより、次の大地震で
支払う保険金のファンドが少なくなったために、ポピュリズム
に走り、商品の魅力を高め、減少してしまったファンドを
早期に回復することを至上命題にしているからなのかも
知れません。
地震保険は社会補償の性格が極めて強い制度です。
それが、貧富の差を拡大するような制度改定をしても
いいのでしょうか?
そもそも、なんで、火災保険とセットでなければ加入
できない、ということが見直しの対象にならないのも
おかしいと思います。
県民共済などの安価な火災共済に加入されている方々が
地震保険だけ加入したい、というニーズは大きいのに。。
日経の記事によれば、東日本大震災の平均の保険金支払額
が約158万円と少なかったために「復旧を後押ししていない」
との指摘があったそうです。
誰の指摘なのでしょうか?
損保会社が一生懸命になって迅速に支払った保険金が
地域の復興計画が固まらないために、被災地の銀行で
使われずに眠っているという話をよく聞きます。
「平均の支払い保険金額が少ないから復旧を後押し
していない」という指摘にはクビをかしげてしまいます。
平均の支払い金額が少ないのは、東北のみならず関東圏
も含めて、それほど大きな被害がなかった加入者に対して、
気前よく一部損の支払いをおこなったからです。
平均の保険金支払い額が少ないことと、深刻な被害の
あった被災地での復旧が遅れていることとは関係ない話
だと思うのですが。。。
今朝の新聞では感じることが多々あり、大急ぎで今
感じていることを書きなぐりました。
仕事しなきゃ。
また、頭を整理して書きたいと思います。