世間的にはあまり知られていませんが、平成17年に改正された
保険業法の一部が、今国会でまた改正されました。
大雑把にいうと、公益法人の行う共済事業(たとえば、総務省が
管轄しているラジオ体操を普及させて国民の健康増進を図りまし
ょうというような団体の災害見舞制度など)が、今までどおり、
旧主務官庁の監督のもとで継続できるようになったのです。
満場一致で今国会で改正法案が可決されました。
これにはちょっと驚きました。
なぜ驚いたかというと、2000年から2008年にかけて行われてきた
公益法人制度改革の目的を骨抜きにする可能性がある法改正で
あったにもかかわらず、それに誰も反対しなかったからです。
公益法人制度改革では、公益法人にかかる主務官庁制や許可主義が、
役人の天下りの温床になっていることが一つ問題視されていました。
主務官庁制や許可主義では、「認可をやるから、天下り先を用意
しておけよ」というようなやり取りが発生しやすくなる、これは
問題だという認識があったのです。
そのために、公益法人制度改革を行い、主務官庁制や許可主義を
廃止したのです。
ところが、今回の保険業法の改正により、旧主務官庁が公益法人の
共済事業について許認可を与える仕組みが復活してしまったのです。
当然、公益法人改革の趣旨に反するので、国会内で議論があっても
いいはずなのですが。。
保険業法の枠組みでのみ議論がすすめられ、どうも公益法人制度
改革の趣旨まで立ち返った議論が十分にされなかったようです。
きわめて残念です。
ちなみに、自分は、今回の法改正に対するパブリックコメント
(広く国民から意見をもとめる仕組みです)の公募で、この点に
ついて指摘する意見を金融庁に提出しましたが、完全に無視され
ました。
これで一番不利益を被るのは、またもやわれわれ国民になります。
保険事業、共済事業の仕組みは実質的にはまったく同じです。
加入者からしてみれば、保険だろうが共済だろうが、事故が発生した
ときに補償がもらえるという期待があるから、その制度に加入する
わけです。
そして、その加入者の期待を裏切るようなことがあってはいけない
から、加入者保護のために、監督官庁が事業者を監督することに
なります。
われわれも金融庁から厳しい監督を受けています。
行政からの監督という視点にたって、保険事業者と共済事業者を
みたとき、おさえるべきポイントはまったく同じです。
であれば、同じ監督作業をなぜ、金融庁に集約しないで、総務省や
厚労省、国交省など、複数の省庁に任せるのでしょうか?
監督行政に関わる役人の数が増えれば、税金の無駄遣いになること
は一目瞭然で、天下りの温床にもなります。
今回の法改正がなければ、行政コストを抑えることができたのに、
この問題について、誰も指摘しなかったのです。
事業仕分けをせっせとやるのもいいですが、わざわざ法律を改正
してまで、税金の無駄遣いが発生する事例をつくらなくてもいい
のに。。。
メディアが何も書かないのも不思議で仕方ないです。。。