昨日は、月々の家計の負担に照らして、1000円から2000円の
地震保険の保険料が高いか安いかというお話をしました。
今回は、地域差というところに注目して地震保険の保険料が
高いのか、安いのかを考えてみたいと思います。
地震による損害の発生確率が高い地域ほど、保険料は高くなり、
地震による損害の発生確率が低い地域ほど、保険料は安くなる、
という関係がまずあります。
これは生命保険でいえば、年齢が高いほど、死亡率があがり、
保険料が高くなるのと同じ関係です。
実は、保険料が高いか、安いかの客観的評価に最も影響を
与えると思われる点は、どこまで損害の発生確率を細分化
しているか?というところになります。
例えば、同じ東京でも、東京湾河口に隣接する江東区と
多摩西部とを比較すれば、多摩西部の方が危険は少ない
わけですが、実際には、東京という地域で一括りでとらえて
地震保険の保険料は設定されているため、どちらの地域も
保険料は同じになっています。
そうすると、多摩西部で地震保険に加入された方は、江東区
にお住まいで地震保険に加入された方よりも、割高感が生じ
てもおかしくありません。
これを突き詰めて考えていくと、多摩西部の中であっても、
川べりの軟弱地盤もあれば、硬い地盤もあり、すべて一律
ということにすると、細かい立地の差によって、割高感の
有無が生じることになります。
結局のところ、どこまで細分化すればそうした割高感を
払拭できるのかという問題になるのですが、住宅一戸、一戸
まで細分化するのはさすがに難しく、現実的に細分化できる
単位としては、市区町村単位くらいまでなのかなと個人的には
思っています。
現在の地震保険は、その区切りを都道府県単位にまるめて
運営しています。
現在の地震保険の制度が区分を都道府県レベルに抑えている
ことには一つ大きな理由があります。
それは、リスクをあまり細分化しすぎてしまうと、危険度
の高い地域の保険料がべらぼうに高くなってしまうからです。
細分化すると、危険度の少ない地域の人たちは保険料が安く
なるので、ありがたい話ではありますが、危険度が高い地域の
人たちは保険料が払えず、地震に対する経済的備えの手段が
なくなってしまうのです。
「地震などの自然災害に対しては、保険などを活用し、自分で
備えておきなさいよ(自助)」と国民に伝えている政府として
は、広く国民が活用できる地震保険の制度を目指さなければ
なりませんので、今の地震保険の制度は、危険度をある程度
平準化して運営しています。
ですので、理論的に考えると、危険度が高いといわれている
地域の人ほど、地震保険に加入した方がお徳な状況にあるの
です。
言い方をかえると、危険度が低い地域の加入者によって、
危険度の高い地域の人たちのリスクが支えられている構図
になります。
実は、この話が広まっていくと何が起こるか?というと、
アドバースセレクションという事態が発生し、制度は成り
立たなくなります。
危険度の高い地域の人だけが保険に加入する事態を招き、
リスクヘッジのための原資が足りなくなってしまうのです。
こういう視点で保険料が高い、安いを論じることもできる
ことを今日はご紹介しました。
ご参考まで。