2年前の自己開示(この国のけじめを読んで) | 地震保険の保険会社の社長ブログ

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2年前の社員向けブログの続きです。

(引用始)

藤原正彦の「この国のけじめ」という本を読みました。藤原氏は、ベストセラーになった「国家の品格」の著者としても有名ですが、作家の新田次郎の息子としても有名な数学者です。もともと右翼っぽい感じの物言いをする人ですが(実際は右翼でも何でもないと思いますが)、この本の中でも、あいかわらず、武士道とか、乃木将軍の話とか、白虎隊の話がよく出てきました。

どの話も筆者に共感でき、昔の日本人を素直にかっこいいと思うことができ、同じ日本人の血を引いていることに誇りを感じ、そして、単に物理的な血を引き継ぐだけでなくて、精神として継承していかなければならないと強く感じました。

ご存知のとおり、武士道は、新渡戸稲造が欧米人に対して日本人の生き方や考え方を伝えようとして書いたものです。藤原氏もこの「武士道」を大学のゼミで学生に読ませているそうです。

欧米では、キリスト教やユダヤ教、イスラム教などの宗教が小さい子供たちの道徳教育の基礎をなしているそうですが、日本では、それに変わるものとして、武士道という教えが倫理や道徳教育の基礎となっていたそうです。

ただ、氏曰く、戦後はこの武士道の教えが、アメリカと日教組によってすべて骨抜きにされてしまい、多くの日本人がその精神を失いかけており、それが、現代の様々な社会問題の一因となっているそうで、日本の教育問題に大きな警笛を鳴らしています。

この本のテーマの一つに、武士道のような日本古来の教えや、四季折々の日本国土の自然美、もののあはれを感じる日本人独特の美的感覚、等々の日本固有の伝統文化を、市場原理主義という経済の魔人から、どうにかして守っていかなければいけない、というものがあります。

メディアに踊らされた無知な大衆の支持を背景とする不安定な民主主義社会の中で、個人の物質的、経済的豊かさの追求を最高の価値基準に置き、市場原理主義、効率至上主義、自由競争、官から民へといった経済政策が盲目的に推し進められてきたことが、結果的に日本人と日本の伝統文化を破壊していることに今こそ気づかなければいけない、とこの本では強く主張されています。

確かに、読んでいて、自分自身も、郵政民営化や自由競争などの経済政策について、盲目的に賛成していたことにハッとすることがありました。

もちろんですが、米国を真似た現代の日本の経済政策の一から十までのすべてが悪いという話を筆者も言っているわけではありません。現代の政策判断が、経済という物差しだけで判断されていることの危険性を示しているのだと思います。

最近、物事を深く考えていくと、いつもここに行き着くのですが、やっぱりバランスの問題ということなのかなと。過不足のない、行き過ぎのない中庸という考え方に。

ただ、現代社会では、この中庸っていうのをなかなか実現するのが難しく、特にマスメディアが民意を簡単にコントロールできてしまう現代社会では、世論が行き過ぎてしまうことや、気づかないうちにみなが盲目的狂信者になってしまうことが多々ある気がします。

自分自身も、中庸に身をおくことが、ときに苦しいことがあり、どっちかに乗っている方が楽と感じることがあります。

そう考えると、芸術や文化などについて深く幅広い教養をそなえた一部のエリート集団の人々に大局観を養ってもらい、そうした人たちにこの国を引っぱってもらう方がいい気もしてきます。他人に任せてしまっては無責任ではありますが。。

信頼でき、かつ教養のあるエリート集団であれば、彼らにこの国を引っぱってもらったほうが、視聴率稼ぎという効率性しか重視しないメディアで右往左往される多数の民意によって政策が決められるよりも、はるかにいい方向に進む可能性は高い気がします。ちょっと脱線しました。

実は、藤原氏の本と同時期に、ゲイリー・ハメルの「経営の未来」という本を読んでいたのですが、本のジャンルも著者の立場もまったく違うこの2つの本に、一つ共通項を見出すことができたので面白かったです。

ゲイリー・ハメルは、米国のビジネススクールの教授で、藤原氏の対極にいるような人ですが、ハメルは、経営管理の手法が100年以上前からまったく進歩しておらず、いつまでたっても効率性だけを追求する一辺倒の管理手法が何も進化していないところに、実は将来の経営のブレークスルーのチャンスがあるのではないかと仮説をたてています。

新しいスタイルの経営管理手法として、ゴアテックスのゴア社やホールフーズ社の実例を挙げて、なかなか斬新な仮説をたてており、効率至上主義に否定的なメッセージを送っているところは、藤原氏に通じるところを感じました。

藤原氏の本は、全体を通じて、商売人=ずるい奴というイメージが強いので、事業を経営している自分としては若干寂しい気もしました。ただ、もともと日本独特の考え方である士農工商の世界感においても、商売人は一番下に位置しているので仕方がないのか知れません。

今、自分は駆け出しの商売人という立場で日々生活していますが、気持ちとしては、武士道の精神を一つ模範にしながら、商売に励んでいきたいと思います。

(引用終)


2年経過して、経営の世界におけるパラダイムシフトをより一層強く感じます。