中学三年生。
家にも学校にも居場所が無かった私は、
公園やコンビニで寝泊まりしていた。
昼間は誰もいない家でようやくゆっくり眠れる。
学校には、ほとんど行っていない。
同じ年の子は受験勉強が始まっていた。
でも私は中学生になってから、
もう勉強なんてしていなかったのだ。
そんな私に更に転機が訪れる。
祖母の家に閉じ込められていた
一歳年下の不良の従姉妹だ。
「家に遊びに来ない?」
予想通り彼女は驚いていた。
コスメボックスには人気の化粧品がびっしり。
大きいクローゼットにいっぱいの洋服は全部EGOIST。
ヴィトンの財布に30種類以上の香水。
もちろん、全て盗んだもの。
「好きなのどれでもあげる。」
彼女はすぐに私に懐いた。
友達が欲しかった訳じゃない。
だって、どうせ裏切るから。
ただ、一人で居たくなかった。
それから、私は少し生きるのが楽になった。
学校に行けば会いに来てくれる、
家にいても会いに来てくれる。
一緒に煙草を吸って
一緒に街に繰り出す
一緒に万引きをしたり
一緒にカツアゲした事もあった
いつも私の事を褒めて
大好きと言ってくれる彼女に
いつのまにか私は、
何年か振りかに笑っていた。
その時はまだ知らなかった。
彼女と出会ってから私は一人ぼっちじゃなくなった事を。
そして、この先訪れる残酷な運命を。