2年くらい付き合って、はじめていったマンション。
もうすぐ一緒に住むのでお片付けに。
彼は汚いから、て言うのでずっといったことはなかった。
ドアを開けると、いきなり自転車があり、外と中の境界線がなかった。
おお。。
と思いながら、見渡した。
汚いて、まあ、そんなほどじゃないような。
床がタイルのようなので足から冷気がくる。
とりあえず、台所を片付けはじめた。
片付けながら、ここに10年も住んでたのかあ、て思った。
炊飯器の横のお茶碗はよく使っているもの。棚の中は何年も開けていないお鍋たち。
お鍋たちと棚の中はゴキブリの糞だらけだった。
そっか。
こうみると、使っているものだけがくっきりと浮き彫りにされるので、動線がよくわかる。
1日、1日。
辛いことがあった日も、嬉しいことがあった日も、こうやって1人で過ごしてきたんだなあ。
なんだか、強いなあ。て思った。
でも、きっと、寂しい日もあったんだろうな。
寝てしまいたい日も、人恋しい日も。
そんな日を、これから私は彼に1日もつくらない。
そんなことを思いながら、ゴキブリの糞をあつめていた。
彼の毎日の、ありのままの生活をみたような気がした。
同時に、とても愛おしく思った。
彼は昔、クールに装う時がよくあった。
全部のありのままなど女の子には見せない、見せてこなかった。というような、感じがした。
けれど、私はありのままの生活の彼を愛している。
パソコンの前にも、たくさんのものが置かれていた。
つめきり、香水、ラー油、醤油。。
ふっと1枚の写真が目に付いた。
私とデートした2人の写真だった。
嬉しかったので、ど真ん中に移動した。
一緒に住むまで、あと3カ月ほど。
3カ月ほどだけど、もっともっと彼のお部屋をあたためてあげたかったな。
部屋は使っていないものたちや、場所があると無反応になる。
だから、綺麗にして場所をあたためてあげると、おかえり、て迎えてくれる。
台所はちょっと、あたたまったかな。
彼を迎えるものたちが、少しでもあたたかいように。
早く一緒に住みたいな。
ずっとあたたかい毎日で過ごしていきたいな。