『たなばたの日には、おりひめ様とひこぼし様があまのがわを渡って会うんだよ♪』 「でもね、実際の天の川ってただの星の集まりで川じゃないんだ」 『・・・でも、おりひめ様とひこぼし様は・・・』 「信じるのは自由だけど、織姫・彦星伝説も単なる後付けの話で、いないってのが正しいんだよ」 『・・・・』 「ちょっと、何でそんなこと言うの!?」 「天の川伝説って、女の子にとってはすっごいロマンチックな話なのにっ」 「あのね、二人が会えますようにって皆で信じれば、織姫と彦星はきっと巡り会えるよ♪」 『うん!』
7月7日 ―――世に言う『七夕』。
この日には、『天の川伝説』というよく知られたエピソードがあります。
天帝の娘「織姫」は、機織の上手な少女。
一方の「夏彦」は、牛飼いを生業とする純朴な少年。
ある日、年頃であるにも関わらず機織を続ける織姫を、天帝が不憫に思う。
天帝は「夏彦になら嫁ぐことを許す」と彼女に伝える。
織姫は夏彦に嫁いでいき、二人は夫婦となる。
二人の相性は最良ともいえるもので、仲睦まじく暮らす日々が続いた。
ところが。
互いが互いを愛しすぎてしまったが故に、
織姫は機を織らなくなり、夏彦も牛を追わなくなってしまった。
本来の仕事を忘れてしまった二人を見て、天帝は激怒した。
彼は二人の仲を裂き、広大な「天の川」をはさんで二人を隔ててしまう。
織姫は来る日も来る日も涙に暮れ、一方の夏彦も織姫に会えない辛さを思い、ひどく嘆いた。
困った天帝は、年に一度、7月7日にだけ二人が会うことを許す。
以後、七夕の日には織姫と夏彦は天の川を越えて、愛し合うことができるようになった。
しかし、この日に雨が降ってしまうと、天の川の水かさが増し、織姫が川を渡ることができない。
そんな時には、二人を哀れんでどこからともなくサギが飛んできて、
天の川に橋をかけて、二人の逢瀬を助けてくれるという。
空の上の、「織姫星」と「夏彦星」のお話。
このエピソードは、あくまで俺にとって「お話」扱い。
大学に入るまでの俺は、やや「超」が付く現実主義なところがあって、
理論で説明の出来ないものは、徹底的に叩きたくなる性分でした。
たとえ自分自身は「からかっている」つもりでも、
俺の言動のせいで相手が不快に感じることも、今にして思えばあったのかもしれんね。
しかし、子供相手となると冗談では済まなくなることも。
もう3年くらい前になりますか。
お嬢様とのプライベート旅行先で、コテージの隣部屋に入った家族と親しくなりました。
ある朝、そこの小さい娘ちゃんと俺が二人っきりになることがあって。
おそらく幼稚園で教わったのでしょう、その『天の川伝説』について一生懸命話す彼女。
ここで、俺の悪い癖が。
うっとりした表情で織姫と彦星のラブロマンスを話す彼女を、桜水さんは徹底口撃(苦笑)
「天の川って言っても、実際はただの星の集まりだからね」
「織姫と彦星は、あくまで想像上の人物だからさ」
「第一、空とか宇宙にそんなものがあるはずないじゃない?」
実際、天の川は恒星の集団に過ぎない。
要は「星座の名前」と一緒で、宇宙にロマンチックを見出した人間が創り出した産物に過ぎない。
年齢1ケタの頃から「サンタって不法侵入だよね」と言っていた、俺らしい発想です(苦笑)
と、こんな事を彼女に対して「あくまでイジり倒す」気持ちでガンガンまくしたてたw
すると・・・
ポカーンと口を開けたまま、黙り込んでしまった娘ちゃん。
少し泣きそうな表情になっていました。
・・・あれ?
そこへ、トイレに行っていたお嬢様が戻ってきて。
・・・当然ながら激しく説教される彼氏(汗笑)
そんな彼女は、娘ちゃんに向き直ると、頭を撫でながら話し始めた。
「みんなが7月7日に短冊つけて空を見るのは」
「たぶん大人になってからも、織姫と彦星をちらっと考えてるからだよ♪」
「○○ちゃんには、幼稚園で好きな男の子いる?」
『いる! ○○くん』
「そっかぁ、じゃあ○○ちゃんがもし一年に一回しかその子と会えなかったら、辛くない?」
『やだ、そんなの』
「だよね。 だからせめてその日だけでも二人が会えますようにってお祈りしてあげて♪」
「そうすれば、きっと七夕の日に二人は会うことが出来るし」
「逆に、織姫と彦星もお祈りしてくれてありがとうって、○○ちゃんのお願いも聞いてくれるから♪」
『うん!』
同じ七夕の話で、子供に満面の笑みを浮かべさせたお嬢様と、
そいつを半べそにさせかけた俺・・・orz・・・
「○○ちゃんをいじめようと思ってやったわけじゃないから、お兄ちゃんも許してあげてね」
『うん、許してあげる』
「でも本物の彦星は、このお兄ちゃんよりももっとカッコ良くて、もっともっと優しいんだよw」
そうお嬢様が言うと、娘ちゃんはキャッキャ笑いました(苦笑)
後になって、「子供の扱いお上手♪」と茶化したところ、
「子供の扱い云々じゃなしに、ああいうキラキラした表情は大切にしてあげなきゃだめだよ♪」
「天の川がただの星だなんて、大人になれば誰でも分かるもんなんだから」
「そんな事をちっちゃい子に偉そうに説明してどうすんの」
「むしろ、そういうピュアな心をかわいい~と感じなきゃだめだよ、彦星モドキw」
俺には、「ロマンチック」を解する心がありません。
もし多少ながらも「それ」があるとするならば、たぶんお嬢様によって醸成された部分が大きい。
乾いても乾いても、彼女がそこに水をばら撒き続けたことによって、
ある意味痩せた土地極まりなかった俺の感性は、多少ながら水分を蓄えるようになったのでしょう。
彼女の事を長い時間見てきたからこそ、彼女の全てを肯定する気にはなりませんが、
一人の人間として尊敬し、学び取りたいと感じる部分は多々あります。
そういう点では「ありがとう」と言わなくてはならないのかもしれません。
・・・言いたくないけどw
そういえば、かつて松ちゃん(ダウンタウン)がこんなフレーズを多用してました。
ロマンスティック :(意味) ロマンティックのさらに上
個人的には、このフレーズは「吹いたら負け」に入りますw
今日は7月7日 ―――七夕。
空はあいにくの薄曇りですが、
願わくば、二人が空の上で出会い『ロマンスティック』な一日を過ごせることを。