木のはしの歌仙(泰里編『五畳敷』明和六年)
木のはしの歌仙(泰里編『五畳敷』明和六年)
表
木のはし(端)の坊主のはしや鉢たたき 蕪村
始て法(のり)の道を踏む霜 泰里
浅く汲む水の柄杓(ひしゃく)のなら(習)はしに 太祇
持(もち)くさらしの台子(だいす)なりけり 図大
さす月のためにもあらず蔵の窓 五雲
みだるる方が萩の見どころ 執筆
裏
ふらふらと秋を出歩くお大名 里
親孝行の家の日あたり 村
首玉に一際(ひときは)猫の愛(あい)増(ま)して 大
枕たてつつ来ぬ夜恨(うらむ)る 雲
手に繰(く)りて疾(と)く見る文ぞはしたなき 祇
まだ陸奥(みちのく)は軍(いくさ)最中 里
ありがたや十日の雨に田植(たうえ)して 村
諸肌(もろはだ)脱(ぬぎ)に涼(すずみ)とる月 大
椽(えん)先に干(ほし)わすれたる山帰来 雲
相傘(あいがさ)ねたき仇書(あだがき)のさま 祇
花嫁と和子(わこ)が成りし歟(か)ても扨(さて)も 里
そなたの空や春の行方(ゆくかた) 村
名残の表
かかる野にとがとがしきは雉子(きじ)の声 大
すは御(おん)大事から尻(じり)に医者 雲
蝋燭(ろうそく)の漸く灯(とも)る明(あか)りさし 祇
酉(とり)の下刻(げこく)は寒の入(いり)也 里
あざなへる縄のごとしと口ずさみ 村
灘(なだ)行(ゆく)船の風のまにまに 嘯山
打切(うちきっ)た死骸どんぶり投込(なげこみ)て 山
恋ならなくに東雲(しののめ)の人 大
祈るにもあやにく遠き神やしろ 祇
尾花のしら髪(が)山にばらける 山
鼻唄(はなうた)も一ふし月の武者執(修)行 村
夢みたやうにさめるどび漉(ろく) 雲
名残の裏
居(すえ)風呂のあまりぬるさに風引(ひき)て 里
南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏 山
人買の伸(の)びも欠(あく)びも憎気(にくげ)也 大
洗濯ものを潜(くぐ)る近道 村
土佐(とさ)駒(ごま)を飼(かひ)給へかし花の頃 山
三月(やよひ)になつて凧(たこ)あげる風 祇
表
木のはし(端)の坊主のはしや鉢たたき 蕪村
始て法(のり)の道を踏む霜 泰里
浅く汲む水の柄杓(ひしゃく)のなら(習)はしに 太祇
持(もち)くさらしの台子(だいす)なりけり 図大
さす月のためにもあらず蔵の窓 五雲
みだるる方が萩の見どころ 執筆
裏
ふらふらと秋を出歩くお大名 里
親孝行の家の日あたり 村
首玉に一際(ひときは)猫の愛(あい)増(ま)して 大
枕たてつつ来ぬ夜恨(うらむ)る 雲
手に繰(く)りて疾(と)く見る文ぞはしたなき 祇
まだ陸奥(みちのく)は軍(いくさ)最中 里
ありがたや十日の雨に田植(たうえ)して 村
諸肌(もろはだ)脱(ぬぎ)に涼(すずみ)とる月 大
椽(えん)先に干(ほし)わすれたる山帰来 雲
相傘(あいがさ)ねたき仇書(あだがき)のさま 祇
花嫁と和子(わこ)が成りし歟(か)ても扨(さて)も 里
そなたの空や春の行方(ゆくかた) 村
名残の表
かかる野にとがとがしきは雉子(きじ)の声 大
すは御(おん)大事から尻(じり)に医者 雲
蝋燭(ろうそく)の漸く灯(とも)る明(あか)りさし 祇
酉(とり)の下刻(げこく)は寒の入(いり)也 里
あざなへる縄のごとしと口ずさみ 村
灘(なだ)行(ゆく)船の風のまにまに 嘯山
打切(うちきっ)た死骸どんぶり投込(なげこみ)て 山
恋ならなくに東雲(しののめ)の人 大
祈るにもあやにく遠き神やしろ 祇
尾花のしら髪(が)山にばらける 山
鼻唄(はなうた)も一ふし月の武者執(修)行 村
夢みたやうにさめるどび漉(ろく) 雲
名残の裏
居(すえ)風呂のあまりぬるさに風引(ひき)て 里
南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏 山
人買の伸(の)びも欠(あく)びも憎気(にくげ)也 大
洗濯ものを潜(くぐ)る近道 村
土佐(とさ)駒(ごま)を飼(かひ)給へかし花の頃 山
三月(やよひ)になつて凧(たこ)あげる風 祇