塗笠菅の笠
菜のはなを出るや塗笠菅の笠 団水
読み
|なのはなをでる|や○○ぬりがさ|すげのかさ○○|
季節は「菜のはな」で春。
北条団水(ほうじょう・だんすい)(1663~1711)の俳諧の発句です。
この句は、上に示したように、破調に読んだほうがいいかと思います。
情景、浮かびますよね。
ここでの「菜のはな」は、菜の花畑のことでしょうね。
見渡す限り菜の花の咲き満ちた広大な菜の花畑、その中程に一本の街道が通っていたのでしょう。
そこを様々な風体(ふうてい)の旅人が、次々に菜の花畑の境界を越えて街道の彼方へと去って行く‥あるいは団水の傍らを通り過ぎて行く‥。
団水の視点は、やや俯瞰する位置にあって、うららかな日差しの下、のどかに行き交う旅人の様子を見ていたのでしょう。
旅人は「塗笠」「菅の笠」としてのみ描かれていますが、団水がそこに身分や職業を見ているのは、いうまでもありません。
江戸時代の風俗に詳しくはないのですが「塗笠」が武士階級の旅装「菅の笠」がその他一般庶民や巡礼などの旅姿なのでしょうね。
色彩的にもすごく美しい光景ですよね。
na no ha na o de ru ya nu ri ga sa su ge no ka sa
音韻を見ても、母音〔a〕や母音〔o〕という雄大な響きの音が、11音も使われています。
旅人たちの談笑の声や、楽しげな表情まで見えてきます。
なかには、立ち止まって菜の花畑の見事さに見とれている者もいたでしょうね。
鳥のさえずり、蝶の乱舞、道には陽炎が立ち、遠くの山々は霞のグラデーションの中に‥。
現代でも見ようと思えば見ることができますよね、こういう光景。
さすがに「塗笠」「菅の笠」はないと思うけど。
ではまたでスゥッ・・・(ーoー)y゜゜゜