ふゆごもり | 俳諧伝授

ふゆごもり

唇で冊子かへすやふゆごもり  涼袋


読み
くちびるで そうしかえすや ふゆごもり


季節は「ふゆごもり」で冬。


建部涼袋(たけべ・りょうたい)(1719~1774)の俳諧の発句です。


そう‐し【冊子・草紙・草子・双紙】サウ‥
(一説に、サクシの音便で、冊子を正字とする)
①〔巻子本(かんすぼん)に対する語〕 綴じた書冊。枕草子89「うすやうの―」
②仮名文の書。物語・日記・歌書の類。枕草子23「古今の―を」
③中世・近世の読物で、絵を主とした小説。多く短編。お伽草子・草双紙の類。
④書いてまだ整頓していない下書き。草案。また、練習の字や絵を書く帳面の類。「手習―」
[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]


【冬籠】
寒風をふせぎて居宅に籠るをいふ。(中略)草木の凋(しぼ)みたるをも冬籠といふ。
〔 曲亭馬琴編・藍亭青藍補『増補 俳諧歳時記栞草』〕


【冬籠】
(前略)冬籠とは古来動植物が冬の活動を停止することに言う。木々も冬は葉を落とし、冬籠りをして、春になって芽を出すので、「春」「張る」の枕詞として用いた。
〔山本健吉『最新俳句歳時記』〕


冬ごもりと云えば、今日では熊や栗鼠(りす)など動物の冬ごもりを思い浮かべる人がほとんどでしょうが、俳諧では「寒風をふせぎて居宅に籠るをいふ」です。


この句は、まあ、作者の視点にご案内するも何も、見たまんまです。


寒くて、炬燵の中に突っ込んだ手を、外に出したくないんでしょうね、冊子を、唇なんかでめくったりして‥。


これが「ふゆごもり」だから、趣きがあるのであって、それ以外だと単なるものぐさ、不精者の姿です。


褞袍(どてら)かなんか着込んで、あるいは布団をすっぽり被っているのかもしれません。


今日現在、日本列島は大寒波の襲来を迎えて、急激な冷え込みの中にあります。


この句の情景、まさにいま、実感としてリアルに感じるんじゃないでしょうか。


いやあ、それにしても冷えますねぇ(>_<)


皆様、お風邪など召しませんように。


それに、今年の冬は腸炎と申しますか、お腹の調子を崩す方が多いみたいですから、そちらのほうにも気をつけてくださいね(-_-;)