君が軽みや
抱下す君が軽みや月見船 嘯山
読み
だきおろすきみがかろみやつきみぶね
季は「月見船」で秋。
三宅嘯山(みやけ・しょうざん)(1718~1801)の発句である。
この「君」は、おそらく芸妓、四季折々の物見遊山-船遊びに文人墨客や富商などのお供をした。
粋、艶、江戸期の(富裕)庶民の美意識を象徴するような句だ。
よって、無粋な解説はしない。
句意は平明、存分にご堪能されたい。
以下は蛇足につき、見て見ぬふりを。(^_-)-☆
この句の切字は「や」である。
抱下す君が軽みや-月見船
と、切れている。
「抱下す君が軽み(や)」と「月見船」は、かさね描きされる。
が、この切字「や」にはもう一つ、感動の中心を指示する、という働きがある。
「君が軽み」に、この句の感動の中心があることは、見て取りやすいと思う。
「抱下す君が軽み(や)」と「月見船」が、かさね描きされ、立ち現れる世界には「君が軽み」という感動の中心があるのである。
うむ、やはり、この句は、くどくど説明しないほうが良いようだ。
各々、想像の翼を羽ばたかせてほしい。
最後に少しだけ音韻の分析を。
da-ki-o-ro-su ki-mi-ga-ka-ro-mi-ya tu-ki-mi-bu-ne
一目瞭然とは思うが
ki-ki-(ka)-ki
mi-mi-mi
この音の配置によるリズムが「君が軽み」という感動の中心を裏から支えているのは、云うまでもない。
●い(i)音
くちびるを平たく開き、舌の先を下方に向け、前舌面を高めて硬口蓋に接近させ、声帯を振動させて発する。
藤田湘子 繊細
秋元不死男 軽快、繊細
江湖山恒男 「う」音に対応するが「え」音より鋭さや欝(うっ)した気持ちの点が劣る
太宰施門 細く鋭く
●カ行音
斎藤茂吉 堅く、潔かに、強く響き。
金田一春彦 乾いた堅い感じ
●マ行音
斎藤茂吉 豊かに、時に締るように響き。
金田一春彦 まるく、女性的な感じ