山籠もり読書 | 俳諧伝授

山籠もり読書

梅雨が明けて二ヶ月ほど、暑い日が続く。


この時期、私は野外読書をする。


午前九時頃、スーパーの開店と同時にまず飲み物と食べ物を購入し、保冷剤入りのクーラーバッグにそれらを詰め込んで、山へと向かう。


適地としては舗装された山道でなるべく交通量の少ないところ、車が一時間に一台通るか通らないか、というのが理想である。


通行車両はあまり多すぎてもうるさいし、少なすぎる場所だとたまーに通るときこちらも驚くし向こうも驚く。


そういう山道の、木の枝が張り出し一日中日陰になっているところ、交通の邪魔にならないような待避所の端に折りたたみの椅子を広げて、夕方まで読書する。


こういう場所を、何ヶ所か見付けてある。


昨日は、そういう場所の一つで読書した。


標高は割合高いほうなので、涼しい、というか、むしろ肌寒いくらいで、初めのうちはウインドブレーカーのお世話になったりした。


鶯が盛んに鳴いていた。


郭公の声も聞いた。


蜻蛉が幾種類か飛んでいた。


そういえば萩も咲き始めている。


山は、もう秋の気配なのだ。


何冊か本を持って行ったのだが。最初は、自宅で途中まで読んでいた文庫本の漫画を読了させた。


つづいて、大好きな作家の本なのだが内容のジャンルが今ひとつ不明で読むのを保留してあった本にとりかかった。


これは、やはり私の勘が当たっていて、あるシリーズものの登場人物をまったく別の話に登場させるという、まあ、サービス精神なのか何なのか、この作家の好きな私としては期待はずれと物足りなさを感じるばかりであった。


午後四時ころ、雲行きが怪しく雨の匂いがしてきたので、急いで帰り支度し山を下り始めたとたん、ぽつぽつと雨が降り出した。


麓まで降りると、空はまったくの晴天で雨のあの字もない。


まあ、山の天気はいつもこんなものではある。


今年は何回、こういう山籠もりの読書ができるか‥。


諸般の事情は、常にうつろいゆく。



炎熱や十重二十重なるタイヤ痕  ousia

読み
えんねつやとえはたえなるたいやこん