魚の如身を | 俳諧伝授

魚の如身を

海にすむ魚の如身を月涼し  星布


読み
うみにすむうおのごとみをつきすずし


季は「涼し」で夏。


榎本星布(1732~1814)の発句である。


星布は女性俳諧師。


月光を浴びて、身体が「海にすむ魚」のように感じられたのだろう。


浴びている月光が、海の水に思えたのだろう。


ある種幻想的なこの感覚は、云われてみれば誰でも共感するのではないだろうか。


涼しげな、海の香りのする風さえ、吹いてくる。


句のリズムに注目するなら


ウみにすむウおのごとみをつきすずし


うミにすむうおのごとミをつきすずし


うみにスむうおのごとみをつきスずし


ウ-ウ、ミ-ミ、ス-ス、の配置が効果を上げていることが判る。


「身を」の後に省略されたものも、読者の想像をかき立てる。


など、技術的にも見るべきところの多い句である。


これで、二百年以上前の作だが、この句を古くさいと感じる人は、誰もいないだろう。