ミニ俳句講座(仮題)1
こんな展開になるとは予想もしなかった。
いきなり、剛速球ど真ん中の質問があった。
タイトルもまだ仮題のままである。
が、これはこれでこのタイトルのままにしてしまうのも面白いかな、とも思い始めている。
ともあれ“格”についてお答えしよう。
まず連歌の権威だった、二条良基(1320~1388)の『筑波問答』から発句についての記述を引く。
“当道の至極の大事、ただ発句にて侍(はべ)るなり。発句悪ければ一座みなけがれる。(中略)かえすがへす道の至極にて侍るなり。いるがせにし給ふべからず。まづ、発句のよきと申すは、深き心のこもり、詞優(ことばやさ)しく、気高く新しく、当座の儀にかなひたるを、上品(じょうぼん)とは申すなり。一つも欠けたらんは、うるはしき秀逸にてはあるべからず(後略)”
さらに、俳諧を論じるとき頻繁に引用される俳論書、服部土芳(1657~1730)『三冊子』からも発句に関する記述を。
“発句の事は一巻の巻頭なれば、初心の遠慮すべし。『八雲御抄(やぐもみしょう)』にもその沙汰あり。句姿もたかく、位よろしくをすべしと、昔よりいひ侍る。先師(芭蕉のこと)は懐紙の発句かろきを好まれし也。時代にもよるべき事にや侍らん。また古来より新宅の会に燃ゆる・焼くるなどの火の噂、追悼にくらき道・迷ふ・罪・とが、船中に、かへる・沈む・波風の類、忌むべき心遣ひと也(後略)”
何百年へだてていて、ほとんど論旨に変わるところがない。
伝承に対する厳しさが、うかがわれる。
以前書いた、発句は発句の格を持つ、というのは私の言い回しだ。
【格】
②身分。位。等級。「―が高い」「―づけ」「格調・人格」
③ただすこと。きちんとしていること。「厳格・格納」
④いたること。きわめること。「格物致知」
[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]
②の、位・格調・風格という意味で“格”を用いている。
③と④の意味も、おのずと含まれるだろう。
『筑波問答』では
「発句のよきと申すは、深き心のこもり、詞優(ことばやさ)しく、気高く新しく、当座の儀にかなひたるを、上品(じょうぼん)とは申すなり」
の部分。
『三冊子』では
「句姿もたかく、位よろしくをすべしと、昔よりいひ侍る」
の部分が念頭にある。
つづく
(ブログは長くなると読み辛いと思うので、後ほどもう一本続きの記事を投稿することにします)