ジャズ好きで知られる俳優の藤岡琢也さんが亡くなりました。
心からご冥福をお祈りいたします。

デヴィッド・ボウイの"Space Oddity"がお好きだとか…。たくさん
コレクトなさったそうですから、さぞやフェバリット・ミュージックが
おありだったのでしょう。
かつて毎週月曜夜9時30分から放送されているNHKラジオ第一放送
「ときめきJAZZ喫茶」に藤岡琢也さんと浅井慎平さんが隔週で担当なさって
おられたこともようやく知ったところです。
詳しい私生活などはまったく存じ上げません。

ニュースを聞いて最初に思ったのは『死に花』という東映映画でした。
元来でしたら、ドラマ『渡る世間に?』を一番先に思い出すべきなのかもしれませんが、
私にはこの映画がとっさに記憶のひきだしから飛び出してきました。
『死に花』のなかの「源田金蔵」という、<死に花計画・首謀者?>を
演じた方が藤岡さんでした。

映画の中でご自身のお葬式をプロデュースするシーンや、大好きな音楽に包まれて
温かいメッセージを遺して、声と映像で仲間たちに別れを告げるシーンが
目の前に浮かび上がっているところです。
そのときに流れていた曲が、誰の何だったのか、当時はまだジャズに
興味がほとんどなかった私は思い出せません。
スタンダードなものがふんだんに使われていたようですが…。

死に際に立派な言行があることを「死に花が咲く」と言いますが、
この映画のテーマそのもののように感じました。

生きて今在る私たちは必ず「死」に向かっていることを、どなたかの
ご逝去に遭遇すると、あらためて知らされます。

7月には薗田健一さんが、先日は丹波哲郎さんも永眠なさいました。
つい先だっては、ある芸能プロダクションの社長が旅立たれました。
同い年でもあり、また、その事務所の役者さんたちと以前から親しくさせて
いただいていることもあって、訃報を受けてただ愕然としてしまいました。
棺のなかの、ひとまわり小さくなられたその方に最期のご挨拶をしつつ、
偉業を称えたことでした。

「限りある時間」を私は真剣に生きているかしらん、と自らに問わずには
いられません。

以下は小説ですが、「より良く生きる」ことを教えてくれた愛読書です。
限りある時間を、どう捉えるかを語りかけてくれた宝物です。

私の大好きなオグ・マンディーノ著『十二番目の天使』です。
http://www.kyuryudo.co.jp/book2/12th_angel.htm

マンディーノの著書『地上最強の商人』は最初に読んだ彼の作品ですが
ほんとうに心が揺さぶられました。

オグ・マンディーノ (ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8E
「過ぎ去っていく<時間>」を思いつつ、リー・ワイリー Lee Wiley の
”As Time Goes By”—RCA LPM-1408を聴いているところです。
同じ曲が演奏者によって雰囲気がまったく変わることも音楽の妙味ですね。

ピアノも聴きたくなってデビッド・マシュー David Mathews “Billy Boy”
—King K28P 6442を今かけたところです。

「生もの」である「音」は本来はライブのその瞬間にしか味わえないのでしょうけれども、
こうしてレコードに収録された「音」はアナログならではの響きを奏でて後世の人々に
幸せを運んでくれるのですね。
何より、息遣いさえ聞こえてくる「生」のような臨場感があります。
そして、その国まで出かけていかなくとも好きな部屋で楽しむことができます。
今日の夕刻、フジテレビのスーパーニュースに「アナログLP」の特集が
放映されました。
当店も取材を受けたのですが、今、確実に「アナログを楽しむ」傾向が
急増していることが報じられていました。ステキなことです。

役者さんはたくさんの映像を、
ミュージシャンは音楽や演奏を、
文筆家は著書を、…この世に遺していきます。

夫はたくさんのジャズにまつわる知識を、できるだけ多くの方に
お伝えしていきたいと願ってこの店を作りました。
今日はお招きを受けて、富山県に講演に伺っています。

大仰なことはできないと思いますが、
私も何か喜びの種を遺す生き方をしていきたいとしみじみ思います。