イヌメ作品 — 技法的考察(モノタイプ)
そこで、イヌメさんはこれらのドローイングを使い、ミュージシャンとしての過去を生かして、オリジナルの歌詞をつけて短いアニメーションを作ったということです。
(閑話休題)
ハンス・イヌメの作品の最大の特徴は、様々な動物たちの輪郭を描く黒く太い描線にあります。よく見ると、この黒く太い線は一様な太さではなく微妙な肥痩を持った線です。この一様でないというところが、イヌメの作品ではとても大切です。ここにイヌメ作品の本質があるのです。
一様な線で簡略化された動物たちを描いてしまうと、それはいわゆるキャラクターとなってしまいます。同じオランダ人の人気グラフィック・デザイナー、ディック・ブルーナの描くミッフィーちゃんを思い出していただくと分かりやすいと思います。ミッフィーちゃんを表す線はあくまでもミッフィーと認識させるための形を区切ることが最大目的の線です。ミッフィーちゃんはどんな媒体で表現されてもミッフィーちゃんでなければならないので、線は極力同じ方がいいのです。
一方、ハンス・イヌメの目的は一人一人の人間が違うように、一羽一羽違うニワトリ、一匹一匹違う豚、一匹一匹違う犬、一匹一匹違うカエルを描くことです。同じ種であっても、個々は違う存在です。それを表現するためには、描かれた動物たちは微妙に異なっていなければなりません。しかし、同じ動物を何百匹、何千匹と描いて熟練してしまうと、微妙に違う線で描くということは至極困難なことになってしまいます。彼にとって、この問題を克服するための答えが、モノタイプという技法の採用でした。
そのモノタイプとはどんな技法でしょう?
(以下、次回に続きます)
2匹と5匹・・・・




