令和6年7月8日(月)大阪府議会 2025年大阪・関西万博推進特別委員会から、紀田 馨委員(維新)の質疑を書き起こしました。
動画はこちら。
委員長:
次に、紀田 馨委員を指名いたします。
紀田 馨委員:
大阪維新の会の紀田 馨です。
大阪・関西万博なんですけども、国内外から約2,820万人の方が会場へ来られると想定されています。
その交通手段として電車、バスといった大量に輸送できる手段に加えまして、やっぱりタクシーによる移動というのも当然想定されるわけです。
会場までタクシーで来られる方は当然としまして、直通している中央線ですとかその中央線につながっている鉄道の各駅までタクシーで来られる方も十分想定されまして、やはり万博開催中にタクシーでの移動を望む方の、その希望が叶う状況を維持できるかどうかというのは、議論する価値がある、そんな論点だと思っています。
そもそも大阪観光局がこの5月31日に、2024年に大阪を訪れる外国人観光客の方の数が約1,400万人程度になるんじゃないかという見通しも発表されています。
2012年ぐらいの数字ですと大体約200万人程度だったと記憶していますので、実に7倍です。
大阪の交通インフラ、特にタクシーに対しても一定の負担といいますか、需要増の負担、負荷がかかっているのは間違いないと思いますし、先ほどから議論があるように、ドライバーの方の数が減っているんでしたらなおさらだと思います。
やっぱりドライバーが減少を続けて、さらに高齢化も進んで、ずっと長時間労働するのがいいとは申しませんけれども、稼働時間が減りつつあるかもしれないという現状は、万博で巨大な需要が発生したときに、きちんとタクシーだけで対応しきれないんじゃないのかという懸念というのは最もだと思います。
その意味で、大阪府や大阪市がライドシェアの導入を国に提案して、国においてもいろいろ検討していただいて、自家用車活用事業、いわゆる日本版ライドシェアというのが5月から大阪でも始まったというわけです。
こちらの制度なんですけども、国土交通省はタクシーの配車アプリのデータを活用されたそうですね。ライドシェアが運行できる場所ですとか、時間、車両数などを規制を緩和すると言っていいのか、新しくレギュレーションをお作りになって決まっている制度、このように先ほども聞かせていただきましたけれども、改めてこの制度がですね、万博開催中のある意味、強烈な需要増に対応可能な制度となっているんでしょうか。
日本版ライドシェア、特にこの大阪における今始まっているライドシェアの現状と大阪府市が考える課題について、改めて議事録にも残していきたいと思いますので伺いたいと思います。
新交通施策推進課長:
現行のいわゆる日本版ライドシェア制度は、国が配車アプリのマッチング率のデータをもとに、タクシーが不足している期間、場所と時間を指定しまして、タクシー会社が運行主体となり、ドライバーの教育や車両整備などといった安全対策を実施した上で、その指定された範囲内でのみライドシェアの運行を認めるというものでございます。
大阪府では、大阪市や堺市、東大阪市などが含まれます大阪市交通圏におきまして、金曜日と土曜日の16時台から19時台に240台、土曜日の0時台から3時台に420台に限って指定されておりまして、6月26日現在で21の事業者が運行許可を得て、すでに運行開始している、あるいは運行の準備を進めているところでございます。
この現行制度ですが、配車アプリのマッチングデータを活用し、過去の実績をベースに運行できる場所、時間帯を決定しているものでありまして、万博のように将来発生が予測される需要を想定した制度とはなっておりません。
大阪府・大阪市では、万博開催時にはピーク時に一日当たり2,300台、通常時の3割増しのタクシー需要が新たに発生すると試算しております。
そのため、現行制度では、この万博時に発生する移動需要には到底対応できないと考えておりまして、運行場所や時間、車両台数などにかかります規制のさらなる緩和が必要と考えているところでございます。
紀田委員:
5月17日に開催された第3回大阪府大阪市ライドシア有識者会議、この資料の中に、規制改革推進会議ワーキンググループ資料に基づく試算というのがありました。
規制改革推進会議で独自に調べた大阪の時間ごとのマッチング率、こっちをベースにして、大阪府市が万博開催期間中のマッチング率を試算したものなんですけども、今のような通常時でもですね、こちらの数字によると50 %程度と2人に1人しか利用できないと。この2人に1人というのはタクシーに乗りたいと思った人のうち1人しか、半分ぐらいしかタクシーを捕まえることができなかったということなんです。
万博期間中になるとさらに悪化して37 %と、タクシーに乗りたいと思った人の3人のうち2人は利用できない、そんな可能性があるという数字です。
これ結構衝撃的なデータだと思うんです。
裏返しにするとですね、タクシーに乗りたい人の63 %は利用できないということでして、ここまで来ると、万博会場に行きたいとか、万博会場に行くために最寄りの駅なり近くのメインの駅まで行きたいということは当然なんですけども、それに加えて、普通の府民生活を送っておられる方ですね、が、病院に行きたいですとか買い物に行きたいですとか、いろんな日常のタクシーの利用についても影響が出る恐れ、これあるように感じます。
さらに逆側ですけども、万博会場も含めてたくさんの方がいらっしゃるんですが、大阪府としては、大阪府内のあちこちに散在するいろんな地域資源に来て、楽しんで、食を楽しまれたり、アクティビティを楽しまれたり、いろんな観光施設も行っていただきたいと思うんですけども、そういった方が、その近くの駅までは来れても、駅から歩いてくださいというには、少し距離がある資源もたくさんありますので、そこでのタクシーを利用していただくというのにも巨大な影響が出るんじゃないかなと思うんです。
先ほど課長ですね、現行の制度では運行場所や時間、車両台数などに関する規制のさらなる緩和が必要と考えているということだったんですけれども、改めてその中身についてですね、運行場所や時間、車両台数に関する規制緩和の必要性というのを確認するとともに、これらの規制緩和に向けた取り組みについて伺いたいと思います。
新交通施策推進課長:
大阪・関西万博の成功に向けましては、多くの来場者の方々に万博会場で実際に体験していただくことはもとより、来阪された機会を生かし、広く府内各地の特色ある施設等をストレスフリーに周遊することで、大阪の魅力を広く体感いただくとともに、交流人口を増加させ、それを地域の活性化につなげていくことも重要であると認識しております。
一方、観光客が多くタクシーを利用されることで、通院や買い物などといった日常生活でのタクシー利用に支障を生じさせないようにすることも重要であります。
そうしたことから、万博期間中におけるライドシェアの運行主体が、安定的に事業を継続できるよう、持続可能な制度とすることが求められていると考えております。
具体的には、必要な時に行きたい場所に自由に移動できるという利用者の利便性確保の観点から、タクシー会社の自由な経営判断による運行を可能とするよう、運行する場所や時間につきましては府内全域24時間運行を可能にするとともに、車両台数につきましても需給バランスに応じてタクシー会社が決定することができるようにするなど、さらなる規制緩和が必要と考えております。
こうした規制緩和の必要性につきましては、全国知事会の万博推進本部や関西広域連合などにもご理解いただき、5月には吉村知事自ら村井全国知事会会長とともに国の関係省庁等に対して要望を行いました。
その際、斉藤国土交通大臣からは万博時の対応については、地元の声を聞きながら適切に対応していきたいとの発言をいただいたところでございます。
引き続き早期にこれらのさらなる規制緩和が実現できますよう、あらゆる機会を捉えて、具体的に国に提案してまいります。
紀田委員:
万博会場に来場される皆様が、会場への来場も含めて府内を円滑に移動できる、その環境をしっかりと維持する、整備することは、大阪におけるおもてなしの第一歩ではないでしょうか。
タクシー事業者の皆様もですね、ドライバーの処遇改善など行われて、様々な企業努力をなさっておられます。そして、ドライバー確保に努めるとされています。
今日も登庁まで家から来ているんですけども、途中でで大きな電光掲示板にドライバー募集って、大きなCMを打たれているのを拝見いたしました。
すごく私たちも敬意を表したいと思いますし、努力なされていると思います。
ただ、このやっぱりタクシー会社の方に万博期間、開催中に発生する移動需要、タクシーによる移動需要のすべてを担っていただくというのは、なかなか難しいところもあると思いますし、会社にとってもその後の万博開催後の需要というのは、一定開催時よりは減ると思いますので、雇用をどうするんだとか、いろんな車両をどう維持するんだということを考えますと、やっぱり民間企業に万博期間中は絶対に問題がないようにタクシー増やしてくださいというお願いしてしまうというのも、いかに国家事業である万博の成功のためとはいえ、酷ではないかなとも思うんです。
そういったときにこそ、急激な需要の変動に適切に対応できるというライドシェアの特徴をさらに活用することで、課題を解決できるんじゃないかなと思うわけです。
国が決めたこの台数ですとか時間とか大阪市内で地域とかというのは、一定長い期間の制度としては妥当なものなのかもしれませんですけども、万博開催時の大きな需要というのを必ずしも反映したものではないというのもまた事実です。
ですので、万博開催期間については、需要が発生するタイミングですとか、需要が多くなるであろう場所ですとか、需要の量ですね、これらを一番熟知なされているのは、やっぱりタクシー事業者の皆様だと思うんです。
ですので、タクシー事業者の皆様のご判断で、台数とか地域とか時間を自由に決められるように、いわば万博スペシャルとしてですね、期間限定で台数はタクシー事業者が管理可能な台数、投入地域は大阪府全域、投入時間は万博期間開催中24時間といった制度の導入が必要だと私は考えます。
万博を推進してきました私たち大阪府議会、大阪・関西万博推進特別委員会としても、このことを国にしっかり訴えていく必要があると思いますので、委員長にはご対応、ぜひお願いしたいと思います。
併せてご協力いただいていると思います、本当にいろんな努力をタクシー事業者の皆様なさっていただいていると思います。その経営基盤を揺るがす問題の一つが私は白タクの問題だと思っています。
この白タク問題にもしっかり対応していただくことが必要不可欠であることを訴えまして、次の質問に移ります。
万博会場を体感できる取り組みとして、6月30日に博覧会協会が大屋根リング見学ツアーを初めて開催して非常に盛況だったと聞いております。
予約もすぐ埋まったそうで喜ばしい話だと思います。
リング、巨大な木造建築物です。
現地で実際に見ていただければ、ある種すごみのようなものも感じられますし、全世界でここにしかないというオンリーワンの価値をですね、すぐにご体感いただけるものだと思います。
そのため、見学ツアーをやったことはですね、機運情勢の観点からも大変良かったと思うんです。
ただ、ツアーの申込サイトを見ますと、「お客様ご自身による撮影は一切禁止させていただきます。」と注意が記されているんですね。
見学ツアー実施時には、現地スタッフはですね、参加者からのカメラとかスマートフォンを預かって、代わりに撮影を行いましたよという報道がありました。
写真撮影について、この対応はさすがに制限が厳しすぎるんじゃないかといった論調ですし、中にはですね、戦艦大和建造時に記者の窓を塞いでいたことと類似の秘密主義であり、一体どのような必要性があるのか真意がわからないというコラムも、大手紙のコラムであったりしました。
そこで伺いたいんですけど、どのような理由から写真撮影の方法などについて制限を設けたんでしょうか。地域連携担当課長に伺いたいと思います。
万博推進局地域連携担当課長:
お答えいたします。大屋根リング見学ツアー中の写真撮影につきましては、参加国から建設中のパビリオンがSNS等で公開されることで各パビリオンの計画的なPRに影響を与え得るため撮影を控えるよう申し入れがあったこと、また、周辺で工事を行っている事業者から現場作業員の顔写真や工事車両等が公開されることによるプライバシーの侵害や機密情報の漏えいなどの懸念が示されたこと、これらのことなどから、博覧会協会、府市、そして見学現場を管理する施工業者での協議のもと、スタッフが撮影することといたしました。
6月30日に実施した見学ツアーでは、参加者からは実際に来てみると思った以上に大屋根リングや会場が大きかった、万博が楽しみになった、などといった声を聞いているところでございます。
今後も10月までに計5日間のツアーを実施することで、より多くの方に大屋根リングをリアルに体感いただき、万博への期待感を高めていただけるよう取り組んでまいります。
紀田委員:
機運醸成という観点からは、自由に撮影していただいて、自由にSNSなどを通じて発信していただくのが良いようにも思いますし、そう考える方も多いと思います。
今、ご答弁いただいた内容ですね、一定の合理性はあると思うんです。ちょっと引っかかるところもあります。プライバシーと言いますが、じゃあ、公共の場の撮影といいますか、駅で撮影するのが禁止されているかというと、そうでもなく、SNSへの発表だけ制限すればよかったんじゃないか、ですとか、機密と言いますけど、機密が棚ざらしになっているのかって思いますし、参加国のパビリオンの計画的なPRの影響が本当に気になされるんでしたら、ブルーシートで覆うとかいろんな手もあったんじゃないかなとも思わないでもないですけども、一定の合理性はあると思います。
ただ、その合理性があると思う説明がですね、あったんでしょうか。そういった説明なくですね、先に紹介しました報道に接した府民の方はどのように感じられますでしょうか。
万博協会には情報発信のプロも、広報戦略のプロフェッショナルも大勢アドバイザーとしてついてるし、内部にもそういった人材がたくさんいることと思いますが、もう少し情報発信のあり方については気を使っていただきたいなとも思うんです。
そういったことを協会ともですね、直接お話ししたら感じます。
委員長におかれては協会と私たち委員会に来ていただいたり、それに準ずるような場を作っていただきますよう改めてお願いいたしまして質問を終わります。
委員長:
この際、休憩いたします。
(次の委員の質疑に続きます)
(※誤字脱字、聞き間違いはご容赦を。正確な情報は公開動画をご覧ください。)