令和6年7月8日(月)大阪府議会 2025年大阪・関西万博推進特別委員会から、理事者の説明(後半)を書き起こしました。

 

動画はこちら。

 

委員長

次に、万博期間中の自家用車活用事業について説明を求めます。

 

 

都市整備部事業調整室新交通施策推進課長

よろしくお願いいたします。私からは、万博期間中の自家用車活用事業について、参入状況、万博開催中の移動需要の見込みや課題などについて、ご説明いたします。

 

まず、資料の説明に先立ちまして、大阪府のこれまでの取り組みなどを説明させていただきます。着座にいて説明いたします。

 

大阪府では、万博に来場される約2,800万人にも及ぶ方々の移動手段として、他の公共交通機関と同様、タクシーの利用が増加する一方、近年、タクシードライバーが減少し続けていることから、昨年12月、徹底した安全管理のもと、タクシーとライドシェアの両輪で、高まる移動需要にしっかりと対応しつつ府民の移動の自由を守るため、大阪が目指すべきライドシェア案を取りまとめ、国にご提案してきたところでございます。

 

この間、国におかれてもさまざまご検討いただき、4月には自家用車活動事業、いわゆる日本版ライドシェアがスタートしました。

 

後ほどご説明しますが、この制度では万博開催時に爆発的に増加する移動需要に十分に対応できないと考えられましたことから、制度のさらなる緩和を求め、5月には全国知事会の万博推進本部、関西広域連合、万博とともに地域の未来社会を創造する首相連合や府内の市長会、町村長会の皆様とともに、万博の成功に向けたライドシェア制度の実現について、国に対して要望活動を行ってきたところでございます。

 

このような状況にありまして、大阪府議会の2025年大阪・関西万博推進特別委員会におきまして、ご説明の機会を設けていただき、改めてお礼申し上げます。

 

前置きが長くなりましたが、資料に即してご説明いたします。

 

 

最初に、大阪における自家用車活用事業の参入状況と課題について説明いたします。

 

資料の3ページをご覧ください。道路運送法第78条第3号に基づく自家用車活用事業は、タクシー事業者が実施主体となり、アプリ等のデータに基づき国土交通省が指定する地域、時期、時間帯の不足車両数の範囲内で、実態上事業者に雇用されたドライバーが運転し、タクシー運賃並みの料金を乗車前に確定し、キャッシュレスで支払う制度となってございます。

 

4月、東京の特別区など4地域でスタートし、5月には大阪市域交通圏など8地域が追加。大阪市域交通圏では土曜日の0時台から3時台に420台、金曜日と土曜日の16時台から19時台に240台の運行が認められました。

 

現在、各事業者からの申請に基づき、21事業者が運行を許可され、準備の整ったところから運行を開始しております。

 

4ページをご覧ください。こちらは不足車両数の公表後に、該当する大阪市域交通圏のタクシー事業者に個別に伺ったご意見を整理しております。

 

事業の採算性、継続性では、場所や時間が制限されれば投資に見合った売り上げが期待できないなどのご意見がございました。

 

また、車両数やドライバー確保の観点では、働きたい時間に合わず収入も見込めないため辞退されたケースや、運行場所や時間、車両台数などは経営の根幹部分であり、タクシー会社に任せてほしいなどの意見がございました。

 

その他、タクシー事業への影響についてのご意見もございました。

 

5ページ下の枠内をご覧ください。アプリデータに基づく不足車両数把握の課題についてですが、本年4月、タクシー利用者に対するネットアンケート調査を行い、府民500人、府民以外の方500人の合計1,000人からご意見をお伺いしました。

 

左の円グラフですが、最もよく利用するタクシーの乗車方法についてお伺いしたところ、配車アプリを利用されている方は全体の31 . 9 %、次に右側のグラフですがタクシーが捕まりにくいと感じている方が59 %。下の棒グラフに移ります、その時間帯につきましては、平日の午前から夜間のほか、雨等の荒天やイベント開催時と答える方が多数いらっしゃいました。

 

このようなことから、配車アプリデータだけでは利用者のニーズを正確に捉えられているかわからないという問題意識を我々持ったところでございます。

 

6ページをご覧ください。先行実施都府県の現状でございます。

 

こちらにつきましては、5月21日に開催されました国の規制改革推進会議地域産業活性化ワーキンググループの資料を参考に、下に4地域それぞれの不足車両数と実施事業者数、稼働台数を整理したものでございます。

 

いずれの地域にしましても、事業開始から約1ヶ月経過後も実際に運行している事業者は少なく、週の最大延べ稼働台数でも一日当たりの不足車両数を大きく下回るといった状況にございます。

 

7ページをご覧ください。現行制度に関する課題のまとめでございます。

 

必要な不足台数を把握するためには、現行の配車アプリデータだけでは限界があり、また将来需要も見込まれておらず、必要な不足台数の把握に課題があるのではないか。また、地域や時間帯、車両台数の制限は意欲のある事業者の事業拡大の制約になっているのではないか。さらに、先行地域の現状を見ましても、車両数の通知を受けた事業者でまだ実施していない事業者がおり、稼働台数も不足車両数を下回っている状況であり、現行制度は事業者の参入、事業継続、事業拡大に課題があるのではないかとの問題意識を持っておりまして、現行制度のさらなる改善が必要と考えているところでございます。

 

 

次に、万博開催中の必要な移動需要の見込みと課題についてご説明します。

9ページをご覧ください。万博開催時等の需要予測でございます。

 

万博協会がまとめておられます来場者輸送具体方針に示されたピークとなる日の来場者数などを用い、万博の来退場、万博前後の周遊とインバウンドについて、それぞれのタクシーの増加台数を試算いたしました。

 

右側に記載しておりますが、例えば万博の来退場では一日約150台の増加が見込まれるなど、合計で下に記載の約2,300台、2022年の一日当たりの走行台数の実績であります8,400台の27 %にも当たる車両数の稼働が、新たに必要と見込まれました。

 

10ページのグラフでは、需給の状況を示しております。青色が新たに必要となる車両数を表しており、タクシー車両の増減につきましては、オレンジで、毎年度退職者数に相当する人数を採用した場合を、ピンクで、2022年からのドライバー増加傾向を考慮する一方、75歳を超えたドライバーが退職すると想定し、シミュレーションしたデータとなってございます。

 

万博開催時の新たな需要が2,300台、ドライバー数につきましては、ピンクの試算では100台減少となりますことから、一日当たり2,400台程度の不足が見込まれると試算をしております。

 

11ページをご覧ください。万博開催時の需要増による影響ですが、具体的な課題を下に整理してございます。万博来場者が会場来場時に円滑に移動できないだけでなく、ピーク時にはタクシー移動を望む観光客の皆さんの周遊にも大きな支障が生じ、限られた時間で楽しみたいという観光客の大きなストレス要因になりかねないことに加え、観光客のタクシー利用の増加により、通院や買い物などの日常生活におけるタクシー利用にも大きな影響が生じるものと思われます。

 

12ページをご覧ください。これらのことから、下の枠内に記載していますとおり、不足台数制限の大幅な緩和、区域全域24時間運行、安全運行ができる新規事業者の参入、業務委託、そしてダイナミックプライシングの実現により、安全な運行ができる意欲のある事業者が積極的にライドシェアに参入できるようにすべきと考えておりまして、引き続き国に対し提案働きかけを行ってまいります。

 

説明は以上でございます。ありがとうございました。

 

 

委員長

以上で、理事者からの説明は終わりました。

 

(9名の委員の質疑に続きます。)

 

(※誤字脱字、聞き間違いはご容赦を。正確な情報は公開動画をご覧ください。)