令和6年6月7日の大阪府議会一般質問より、不登校対応と私立高校等授業料完全無償化後の府立高校のあり方に関する、自民・由井聖太府議の質疑を書き起こしました。

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由井議員:大阪府では不登校児童生徒に対してさまざまな支援に取り組んでいるかと思いますが、私は、より大きな枠組みである長期欠席者の数に問題意識を持っております。長期欠席者とは、不登校に加え、病気や経済的理由、家事手伝いなどの家庭の事情から30日以上欠席している生徒のことで、近年、増加傾向にございます。パネルをご覧ください。

 

府立高校については、平成29年度には全生徒の3 . 3 %が長期欠席者でございましたけれども、令和4年度には6 . 1 %に上昇するなど、長期欠席者の増加が止まりません。

 

このような状況も踏まえ、私は、不登校生徒だけで見るのではなく、病気や家庭の事情といった理由も含めた、幅広い観点の対策が必要ではないかというふうに考えております。

 

そこで、府立高校における長期欠席者への認識、また今後の新たな取り組みとして、どのようなことを考えているのか、教育長の所見を伺います。

 

 

水野教育長府立高校においては、様々な理由から長期に登校できていない生徒が増加傾向にあり、理由の内訳といたしましては、無気力や不安が最も多く全体の約25 %。次いで、生活リズムの乱れや遊び・非行が約16 %、病気が約15 %と続き、これらで全体の半数を占めております。

 

このような長期欠席の理由は多岐にわたっており、どのような状況であっても、すべての生徒に対して、学びへのアクセスをしっかりと保証することが重要であると認識をしております。

 

府立高校においては、今後、オンラインによる遠隔授業等の活用といった、個々の生徒の実情に応じた学びへのアクセスを保障していく校内体制の構築を進め、長期欠席者に対する取り組みも充実させてまいります。

 

併せて、生徒に対してより丁寧なアセスメントを行っていくため、府教育庁においては、すでに全校配置しているスクールカウンセラーを、不登校生徒の多い学校に対して大幅に配置回数を拡充したところでございます。

 

引き続き、すべての生徒に寄り添い、それぞれの学びをしっかり伝えることができるよう、取り組みを充実してまいります。

 

 

由井議員大阪における長期欠席者の数は、全国のワースト5となっております。ぜひとも新教育長のもと、しっかりとした取り組みを期待をしています。

 

 

最後に、今後の高校の在り方について質問いたします。今年度から始まった私立高校等授業料完全無償化の影響もあってか、公立高校については直近、令和6年度入学者選抜において全日制高校で70校が志願割れとなり、過去最多となりました。

 

私が教育庁の協力のもと作成した府立高校の競争率と偏差値を比較したグラフによりますと、現行制度が始まった平成28年度、左側でございますと、令和6年度を比べますと、4象限の左下でございますが、偏差値が50以下かつ競争率一倍未満の高校が全体の13 . 7 %から41 . 6 %にまで激増をしており、偏差値の高い高校の人気が保たれる一方、偏差値50以下の高校で倍率が極端に下がり、二極化が加速をしていることがよくわかります。

 

また、本来は少子化に応じてすべての学力域で満遍なく高校定員を再編すべきではございますが、これまで廃校になったほぼ全ての高校が偏差値50以下、競争率一倍未満の高校であることから、生徒の多くが入試時期も早く授業料も無償化された私立高校に流れており、府立高校が偏差値50以下の生徒の受け皿になれていないことが明らかです。

 

これまでも府として専門コースや総合学科、エンパワーメントスクールなど様々な取り組みを進めてこられましたけれども、その効果は不十分と言わざるを得ません。

 

このまま私学の囲い込みを許容し、志願割れを起こさない人気の府立高校のみを残すのか、地域のインフラとして府立高校を残すため、私学と公平に競争ができる環境整備を行うのか、私立高校等授業料完全無償化後の高校の在り方について、教育長の考えをお伺いします。

 

 

水野教育長府立高校の役割は、全ての子どもに対して、教育の機会を保障し、社会で活躍するために必要な知識や態度を育むことであり、そのためにも、私学と切磋琢磨しながら、より魅力ある学校づくりをしていく必要があります。

 

学習内容の充実はもちろんですが、老朽化が進んでいる施設の整備なども財源の制約はありますが、計画的に進めていく必要があると考えております。

 

また、子どもたちができる限り自分に合った学びや、求める学びを実現する学校選択ができるよう、現在、大阪府学校教育審議会で選抜制度の見直しの検討を進めております。

 

一方、今後も子どもの数が減少する見込みであり、一定の再編整備は必要であると考えております。その際にも、地域の学校で学びたいという子どもたちのニーズも勘案し、総合的な判断の上、進めてまいります。

 

由井議員社会インフラとしての高校教育の充実に向け、私立と公立の競争環境の整備は極めて重要なテーマでございます。新教育長のもと、本質的な問題解決にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 

(※誤字脱字はご容赦を。正確な情報は公開動画をご覧ください。)